大相撲興行は、年3回、両国国技館で行われる。その期間中は、両国駅を降りると呼び太鼓が、幟とともににぎわいを与える。特に、役力士が国技館に入る午後には「入り待ち」「出待ち」の大相撲ファンが列を成す。
初代国技館は、1909年に京葉通り沿いの回向院に建てられた。その後、台東区蔵前に移転する。その間、この場所は日本大学講堂として利用されていた。そして、1985年に二代目国技館として、両国の地に戻り、現在に至っている。
さて、興行のない普段の両国は、閑静な場所だ。国技館の東側には江戸東京博物館、また、北側には都立横網町公園が立地する。
この横網町公園は、元々陸軍被服本廠があった場所だ。1922年に赤羽台に施設が移転した後、東京市が買収し公園として整備した。整備中に関東大震災が起こり、避難した約38,000人が犠牲となった。そのため、納骨堂が設置することとなった。しかし、第二次世界大戦時には、東京大空襲によって、周辺一帯が大きな被害を受けている。
現在、東京都慰霊堂と復興記念館などの建造物も置かれ、歴史を語り継ぐ大切な場所として、時を刻んでいる。平和産業である観光業の礎として、光も影も、双方に焦点を充てることが大切だと考えさせられる場所である。

(2024.09.11.撮影)
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取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長