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長野・松本で北前船フォーラム レセプション開催、信州で絆深まり次回は新潟へ

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江戸から明治期にかけて日本海側の海運を支えた北前船をテーマに、寄港地連携と地域間交流による活性化を進める「第36回北前船フォーラム in 信州まつもと」、ならびに〝地域間交流拡大〟を軸に地域活性化の課題解決に取り組む「第7回地域連携研究所大会」のレセプションが2025年11月21日、長野県松本市のホテルブエナビスタで開かれた。全国から約380人の自治体首長や経済界、観光関連団体、地域文化の担い手らが参加し、子ども演奏家による歓迎演奏、内陸での初開催に寄せる各首長・国会議員の挨拶、功労者への感謝状・花束贈呈などが続いた。さらに、次回開催地となる新潟県の自治体代表者が一堂に登壇。北前船を介した歴史・文化・交流の未来を語り合うなど、参加者は海と内陸をつなぐ新たな北前船ネットワークの広がりを実感しながら、地域間連携の深化に向けた交流を深めた。次回の「北前船フォーラム」は新潟県内で開催される予定だ。

会場の様子

北前船ゆかりの昆布で“結び”を表現「昆布カットセレモニー」

レセプションの冒頭を飾ったのは、北前船交易の象徴である昆布を用いた恒例の「昆布カットセレモニー」だった。ステージ中央には約28名が並び、北海道・釧路町から届けられたサオマエコンブが並べられた。提供した北海道釧路町長の小松茂氏 は、「北前船の時代から昆布は海を越え、人を越え、文化を越えてつながりを運んできた」と述べるなど、松本大会に寄せる特別な思いを語った。続けて小松町長は「本日お持ちした昆布は13メートルだが、成長すると20メートルにもなる希少なもので、私どもの地域で代々守られてきた海の恵み。大会が長く続くようにとの願いを込めて用意した」と紹介。参加者に向け、「皆さまの手で一斉にお切りいただき、この松本大会の門出を祝ってほしい」と呼び掛けた。

北海道釧路町の小松茂町長

司会の合図で一斉にハサミが入ると、会場を囲む輪から拍手が起こり、華やかなムードに包まれた。海運文化の象徴が内陸の松本に広がる瞬間でもあり、「海と山を結ぶ大会」の幕開けとして、象徴的なワンシーンとなった。

昆布カットの様子

続いて披露された歓迎アトラクションでは、松本市を拠点にバイオリン教育を世界へ広めてきた才能教育研究会(スズキ・メソード)の子ども演奏家が登壇。ヴィヴァルディの協奏曲イ短調やバッハのメヌエット、鈴木鎮一作曲の「きらきら星変奏曲」などが次々と演奏され、会場は一転して落ち着いた雰囲気に包まれた。内陸の学都・松本を象徴する音楽文化が、北前船フォーラムの幕開けにふさわしい柔らかな彩りを添えた。

才能教育研究会の子ども演奏家が登壇

内陸開催の意義と地域連携の未来を作る

主催者あいさつではまず、長野県知事の阿部守一氏が登壇し、全国からの参加に謝意を示した。阿部氏は、長野県と沖縄県が友好交流を結んでいる関係に触れながら、「今日お集まりいただいた皆さまには、旧知の方々との再会だけでなく、新たな出会いや新しい絆をつくる場にしていただきたい」と語った。また、「これからの日本全体の発展には、地域が競い合うだけでなく、互いに協力し合う姿勢が欠かせない。全国の知事の皆さまと力を合わせ、この北前船フォーラムの精神を、これからの日本の発展に生かしていきたい」と述べた。最後に、「長野県を開催地に選んでいただいたことへの御礼を申し上げるとともに、これを機に皆さまとの連携をより深めていきたい」と結び、参加者への感謝を改めて表明した。

阿部守一長野県知事

続いて、開催地を代表して松本市長の臥雲義尚氏が登壇。臥雲氏は冒頭、才能教育研究会(鈴木メソード)の子ども演奏家による演奏に触れ、「鈴木鎮一先生が松本で始めた教育法が、戦後間もなく全国へ、さらに世界へ広がったことが、松本を『音楽の都・学都』として育ててきた礎となった」と紹介した。そのうえで同日に開かれたフォーラムを振り返り、「なぜ内陸の松本で北前船フォーラムを行うのかという問いを皆さんが丁寧に掘り下げてくださった」と語り、海と内陸を結ぶ意義を改めて強調。「北前船の精神が内陸にも広がることは、地方都市にとって大きな希望となる」と述べた。

さらに、松本の原点について自ら問い直したとし、「1590年に松本城の天守と城下町を築いた戦国武将・石川数正が、松本のまちの出発点を形づくった」と説明。外交官的な役割を担った数正の視点が安土城や大坂城の知見を松本にもたらしたことにも触れ、「伝統と革新を併せ持つ信州の気性は、草間彌生氏のような芸術家を生み出してきた松本の誇りでもある」と語った。最後に臥雲氏は、「全国の地域それぞれにも原点や宝がある。今回の松本開催が、それを掘り下げ、結び合わせるきっかけとなってほしい」と呼び掛け、「人口減少が進む中、地方が手を取り合って日本の新しい形をつくる力にならなければならない」と締めくくった。

長野県松本市の臥雲義尚市長

地域連携の広がりを期待

開会あいさつでは、東日本旅客鉄道(JR東日本)常務取締役マーケティング本部長の中川晴美氏 が登壇し、フォーラムの開催を祝うとともに、内陸での初開催を実現させた関係者への敬意を述べた。中川氏は、古くから海と山を結んできた〝塩の道〟や北前船交易の歴史に触れ、「地域同士が結び合うことで新しい交流が生まれ、未来の観光や地域づくりの礎になる」と語った。

さらに、2027年夏に開催される「信州デスティネーションキャンペーン」に向け、JRグループとして長野県や沿線地域との連携を一層深め、全国からの誘客促進に努めていく姿勢を示した。「北前船フォーラムの精神を、鉄道会社としての広域ネットワークにも重ね合わせ、地域の魅力を広く届けていきたい」と述べ、参加者へ協力を呼び掛けた。

JR東日本の中川晴美常務取締役マーケティング本部長

歴史の継承・地域連携・文化交流、北前船の価値と未来

「歴史を現在の地域力へと転換する視点を」

来賓あいさつでは6人が登壇。衆議院議員の斎藤健氏は、北前船が築いた交易網を「地域経済と文化の母体」と位置付け、「日本の地域は互いに結び合うことで存続し、繁栄してきた」と語った。斎藤氏は、物資が行き交うだけでなく、人の往来や商いの知恵が共有され、寄港地が互いを高め合う仕組みが歴史の中に確かに存在したことを指摘。「人口減少が進み、各地の産業が転換期を迎える今こそ、地域同士の支え合いの回路を再構築しなければならない」と述べた。

さらに、北前船のネットワークを単なる過去の物語として扱うのではなく、現代の地域政策が取り入れるべき原型と捉える姿勢を示し、「歴史の蓄積を現代の地域力へと転換する発想が、地方創生の鍵を握る」と語った。北前船の思想を未来の共有財産とする重要性を強調した。

斎藤健衆議院議員

「資源はつながることで初めて“物語”となり、価値を生む」

続いて登壇した参議院議員の横山信一氏は、北海道・東北・北陸・関西を縦断する北前船の航路に触れ、「この航路は、多様な文化と産物が互いの地域に橋をかけた『広域ネットワークの原型』」と語った。横山氏は、海産物、米、酒、布、工芸品など、各地の資源が航路を通じて広がったことで〝地域の価値が共鳴し合う関係〟が築かれた点を指摘した。

続けて、「気候変動、一次産業の変容、人口減少など、地域が抱える課題は一地域だけで解決できない」と述べ、「地域同士が価値を共有し、つなぐことで初めて未来を拓く力が生まれる」と強調。「北前船の歴史は、地域の可能性を『単独ではなく網の目でつくる』という視点を現代に伝えている」と述べ、広域連携の重要性を改めて位置付けた。

横山信一参議院議員

「文化が交差する場所に、新しい地域の可能性が芽生える」

衆議院議員の浮島智子氏は、北前船が運んだものを「物資にとどまらず、宗教・芸術・生活文化など『精神の交流』そのものだった」と表現した。地域の文化が交わることで独自の芸能や祭礼、食文化が育まれた歴史を紹介しながら、「文化は流通し、混ざり合い、地域に新しい息吹をもたらす」と語った。

今回の松本開催については、「海のない地域だからこそ、外との関係性をより意識し、新しい文化の受け皿になれる」と述べ、内陸開催がもつ象徴性を強調。「各地の文化が互いに開き合い、共有されるとき、地域の未来はより豊かになる」と語り、文化政策においても広域連携が欠かせない視点であることを示した。

浮島智子衆議院議員

「地域文化を『物語』として束ね、新しい産業を創出する」

来賓として登壇した木下グループ代表取締役社長 兼 グループCEOの木下直哉氏は、文化資源の活用は「単に伝えるのではなく、物語として再構築することで初めて世界に届く」と語った。北前船の航路上に残る芸能、祭礼、食文化、職人技などを「地域が誇る文化の宝庫」と位置付け、「こうした価値を現代の観光・エンターテインメント産業の枠組みに乗せることで、新しい交流人口を生み出せる」と述べた。

また、木下氏は「地域文化は点在しているだけでは力を発揮しない。つなぎ、編集し、物語化することで初めて産業になり得る」と強調。民間企業としても地域との連携を深め、日本全体の魅力発信に貢献していく姿勢を示した。

木下グループの木下直哉代表取締役社長 兼 グループCEO

「文化の移動と交流が、日本文化の多様性を生んだ」

文化庁次長の伊藤学司氏は、北前船の歴史を「日本文化の多層性を形づくった起点」と捉え、「文化は地理的条件よりも、人の往来と対話によって育まれる」と述べた。伊藤氏は、寄港地ごとに育まれた独自の芸能や美意識が、交流を通じて形を変えながら広がっていった歴史を紹介し、「地域文化が混ざり合うことで、文化はより豊かになる」と指摘した。

内陸松本での開催についても、「海と山の文化が出会う象徴的な場」と評価し、「これからの文化政策には、地域間の水平的な連携をさらに深める視点が求められる」と語った。

文化庁の伊藤学司次長

「地域の物語を磨き上げることが、観光の未来をつくる」

最後に登壇した観光庁観光資源課長の矢吹周平氏は、観光の本質を「地域の物語をどれだけ鮮明に伝えられるか」と捉えたうえで、「北前船の歴史そのものが『物語の広域連携モデル』である」と述べた。観光庁が進める観光地域づくりの取り組みを紹介しながら、「自治体、企業、地域団体が連携し、価値を共有しながら地域の物語を磨き上げていくことが、これからの観光の競争力になる」と強調した。

さらに、「北前船フォーラムは、地域同士が対等に結び合うプラットフォームとして大きな意義を持つ」と話し、観光庁としても引き続き広域連携を支援していく姿勢を示した。

観光庁の矢吹周平観光資源課長

地域の記憶と未来を象徴する大会オブジェ「黄金のミロのヴィーナス」を披露

大会の節目を象徴する「記念オブジェ発表」では、SGC代表取締役会長の土屋豊氏が登壇し、同フォーラムの理念をかたちとして表現した新作オブジェ「黄金のミロのヴィーナス」を披露した。土屋氏は、オブジェに込めた思いについて、「北前船が紡いできた交流の歴史と、松本から広がる新たな地域連携の未来を一つの造形として表した」と説明。素材やデザインの意図を解説しながら、「それぞれの地域が持つ個性を結び合わせることで、新たな結びが生まれる。その航路を象徴する存在として制作した」と語った。黄金のミロのヴィーナスは、ルーブル美術館公認で実寸大で作られた。

SGCの土屋豊会長

今回の発表には特別ゲストとして、長野五輪スピードスケート金メダリストの清水宏保氏も登壇。清水氏は競技人生を振り返りながら、「スポーツも地域づくりも、支えてくれる人や土地とのつながりがあってこそ力になる」と述べた上で、北前船フォーラムの精神に共感を寄せた。さらに、「長野から世界へ挑んだ自分の経験と同じように、地域もまた互いに結び合うことで新しい可能性を開く」と語り、松本開催の意義を称えた。

清水宏保氏

新オブジェはこのあと会場中央に掲げられ、参加者たちはその造形に込められた意味を噛みしめながら、北前船ネットワークの新たな航路を想起するひとときを過ごした。

オブジェの披露時には歓声が上がった

鏡開きで地域の祈りと門出を共有

乾杯前には9樽約60人が参加する鏡開きを実施。各地域の代表者が木槌を手に円陣を組むように並ぶと、会場全体が期待に満ちた静けさに包まれた。合図とともに一斉に木槌が振り下ろされ、軽やかな音とともに樽が割れると、松本開催への祝意と北前船ネットワークのさらなる発展を願う雰囲気が場内を満たした。

鏡開きの様子

続いて乾杯のあいさつには国土交通省元事務次官で北前船交流拡大機構会長の岩村敬氏が立った。岩村氏は、参加者に向けて感謝を述べたうえで、「北前船が各地にもたらしたのは、物流だけではなく、地域同士が支え合う精神そのものだった」と語りかけた。さらに、内陸開催となる松本でのフォーラムが生み出した意味について触れ、「海と山が出会い、新しい交流のかたちが生まれる。この化学反応こそが、次の時代の地域連携をつくる力になる」と述べた。

岩村氏は、「全国の皆さんと共に北前船ネットワークを未来へ広げていきたい」と語り、グラスを掲げて乾杯を宣言。会場には、地域の絆がさらに強まっていくことを実感させる高揚感が広がった。

北前船交流拡大機構の岩村敬会長

国際視点、航空、地域金融から示された「北前船連携の未来像」

「国際社会から見た地域交流の可能性」

参加者代表として最初に登壇したのは、TDK戦略本部 広報グループで前ハンガリー大使のパラノビチ・ノルバート氏。ノルバート氏は、外交の現場で各国の地域政策を見てきた経験を踏まえ、「地域が自らの文化と歴史を発信し、互いに学び合う姿勢は、国際社会でも強く評価される」と述べた。北前船の航路がかつて地域同士をつなぎ、新しい価値を生み出してきた点に触れつつ、「歴史に根ざした交流は、現代の地域ブランディングにおいても力を発揮する」と語った。

また、松本開催については「海の地域と山の地域が出会い、新たな視点が加わることは、外から見ても非常に象徴的だ」と述べ、日本の地域間交流の成熟を高く評価。「国際的にも魅力のあるストーリーになる」と期待を寄せた。

TDK戦略本部 広報グループで前ハンガリー大使のパラノビチ・ノルバート氏

「航空ネットワークが支える地域連携の広がり」

続いて登壇したのは、日本航空取締役専務執行役員の柏頼之氏。柏氏は航空会社として全国の地域と向き合ってきた立場から、「地域が元気になると空のネットワークも活性化し、さらに新しい交流が生まれる」と語り、交通インフラと地域振興の連動性を指摘した。

フォーラムで語られてきた広域連携についても、「北前船の航路が示した点と点を結ぶ力は、現代の航空網とも重なる」と述べ、「人の移動が新しい文化や経済の循環を生み、地域をより強く結びつける」と強調。航空会社としても、全国の地域との連携を深め、持続可能な交流ネットワークづくりに貢献していく姿勢を示した。

日本航空の柏頼之取締役専務執行役員

「地域金融の視点から見た交流人口と価値創造」

最後に登壇したのは、ANAあきんど代表取締役社長の原雄三氏。原氏は地域金融と地域商社の役割を担う立場から、「地域の価値は、外と交わることで新たな経済圏を生む」と述べ、交流人口の重要性を強調した。北前船の歴史を引き合いに出し、「物資の移動だけでなく、商人や技術、人の往来が地域を豊かにしてきた」と語り、それが現代における地域商社の発想にも通じると指摘。「地域が自らの魅力に気づき、他地域とつながり合うとき、価値が循環し始める」と述べた。

松本開催に対しては、「内陸だからこそ広域連携の可能性を考える場となり、日本各地を結ぶ北前ネットワークの深まりを強く感じた」と語り、今後の地域経済の広がりに期待を寄せた。

ANAあきんどの原雄三社長

長年の貢献に敬意を表し、地域を支えてきた人々へ感謝を捧げる

レセプション終盤では、北前船ネットワークの発展に寄与した関係者へ、感謝状と花束が贈られた。壇上に呼ばれたのは2人。ひとりは、北前船フォーラムの立ち上げや文化・産業との連携強化に尽力してきた SGC会長の土屋豊氏。もう一人は、北前船文化の保存と現代的な価値付けにおいて、地域と寄港地との橋渡し役を担ってきた釧路町長である小松茂氏。

臥雲市長(左)と土屋会長

土屋氏は、これまでの歩みを振り返り、「北前船の交流は、地域を結びつける『見えない航路』として今も生き続けている」と語り、松本開催に感謝の意を示した。小松氏もまた、寄港地の自治体として培ってきた経験に触れ、「海が紡いだ歴史が、今こうして内陸で語り継がれていることに深い意味がある」と述べ、北前船文化への思いを改めて示した。

臥雲市長(左)と小松町長

続く花束贈呈では、約20人の関係者が壇上に呼ばれ、長年このフォーラムを支えてきた功労に対して讃えられた。運営、寄港地との調整、文化行事の企画、地域の担い手としての継続的な支援など、見えないところで積み重ねてきた努力に対し、会場からは温かな敬意が寄せられた。

花束を受け取った参加者たちは、それぞれが北前船のネットワークを支えてきた誇りを胸に、松本大会が次の世代に受け継ぐべき航路であることを実感するひとときを共有した。

花束贈呈の様子

内陸開催の象徴として、県歌が会場をひとつに包み込む

後半の歓迎アトラクションでは、長野県代表者による県歌「信濃の国」の合唱が披露された。松本での開催を祝うとともに、信州の文化的アイデンティティを全国の参加者と共有する特別な演目として位置付けられたものである。

「信濃の国」は、長野県ゆかりの自然、歴史、地域の広がりを歌い上げる県民に親しまれた歌であり、全国でも屈指の知名度を持つ県歌として知られる。会場に立った長野県代表者たちは、重層的に広がるメロディとともに、信州の山々、点在する地域文化、脈々と受け継がれてきた自治の精神を力強く歌い上げた。

北前船の原点へ帰る、次回は新潟大会

レセプションの終盤では、次回開催地となる新潟県の代表者一同が壇上に立ち、参加者に向けて力強いメッセージを送った。新潟は、日本海航路を語るうえで欠かすことのできない北前船の中核地であり、その歴史的背景を踏まえて、「次の大会では、海と川、そして港町が育んできた新潟ならではの北前船文化を存分に紹介したい」と述べた。

代表者は、松本大会の成功を称えながら、「内陸に北前の物語が広がり、ここで生まれた議論や交流が再び海へとつながっていく。その循環こそ北前船の精神そのものだ」と強調。さらに、「新潟では、北前船の寄港地としての歴史を、現代の地域づくり・観光政策・文化交流と結びつけ、皆さまをお迎えしたい」と語った。

また、海と大河が交わる新潟の地理や、越後文化の多様性にも触れ、「2026年、新潟でお会いできることを心より楽しみにしている。北前船がもたらした商いと文化、人の往来の記憶を次回大会の場で改めて共有し、新しい広域連携の航路を描きたい」と抱負を述べた。

次回への意気込みを語る新潟県関係者

レセプションの最後には、長野県議会産業観光企業委員会委員長の丸茂岳人氏、続いて松本市議会議長の阿部功祐氏が登壇し、松本大会を締めくくるあいさつを行った。

丸茂氏は、松本での初開催がもたらした意義に触れ、「北前船という海の物語が、内陸である信州の文化や歴史と響き合い、新たな交流の地平を開いた」と述べた。さらに、今回のフォーラムを通じて気づきが深まり、地域の原点を掘り起こす議論が各地の参加者の間で交わされたことを高く評価。「ここで得られた出会いと学びが、明日からの地域づくりに生かされていくことを期待している」と語った。

長野県議会産業観光企業委員会の丸茂岳人委員長

続いて登壇した阿部氏は、松本市を代表して感謝の意を示し、「全国から多くの皆さまにお越しいただき、この松本の地が北前船フォーラムという大きな航路の一端を担えたことは、私たちにとって大きな誇り」と述べた。また、松本が音楽・工芸・歴史を重層的に持つ都市であることに触れ、今回のフォーラムによって新しい文化交流の芽が育ったことを喜ばしい成果として紹介。「次回は新潟県でさらに大きな広がりが生まれることを願っている」とし、参加者へ改めて謝意を伝えた。

松本市議会の阿部功祐議長

松本大会はこうして幕を閉じ、海と内陸を結ぶ新たな北前ネットワークは次の開催地・新潟へとバトンを渡した。

最後は万歳三唱で締めくくった
司会はフリーアナウンサーの本間香菜子氏が務めた

取材 ツーリズムメディアサービス編集部 長木利通

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