高齢者の方がGPS(全地球測位システム)を所持、活用するのはすっかり認知されたこともあり、身近な存在になってきました。当初は高齢かつ認知症に罹患した家族の位置情報の把握という目的がメインでしたが、ここ最近ではGPSと搭載した機器に付属するブザーによる緊急通報という目的での所持も増えているようです。
高齢者が所持するGPSの精度は、この10年で長足の進歩があります。以前は実際の位置から見て位置情報が大幅にずれることが多く、緊急時の安否確認には適さないと見られていました。ところが、ここ最近はGPSを所持する方の動きに合わせ、かなり正確な移動の履歴を示すようになっています。正直なところ、位置情報の正確さは、GPSを所持活用している高齢者自身のプライベートにまで踏み込みかねず、位置情報の把握管理は程度問題である印象を強く突き付けられます。
また、高齢者の方が外出する際に所持するので有効なのは、ここ近年外出時の位置情報から食事先やアミューズメントなど提案が得られることでしょうか。ノープランで旅先に外出したとしても、位置情報から思いのほか楽しめる散策のプランを提案してもらえ、ガイドも不要になってきています。AIとの組み合わせという高度なGPS活用も実現している時代です。「迷子」という言葉がそう遠くない内に辞書から消える単語になりかねないでしょう。
気を付けたいのは、仮にGPSを搭載した機器のブザーで通報したとして、「誰」に通報されるかでしょうか。通報の一次受けは機器のメーカーが必ずするとしても、関係者が駆けつけてもらえる地理的な範囲なのか、また消防や警察などに再通報されるのかなどです。なお活動が広範囲の高齢者の方こそ所持すべきなのだと自負しますが、高齢者のアクティブさにまだまだ機器の方が「負けて」いるようです。GPSの機器を「お守り」として宣伝周知しているメーカーもありますが、その通りでしょう。確かにあれば心強いです。
寄稿者 猪股透人(いのまた・はやと)シーキューブ㈱ https://c-cube.life/