独特なフクのせりで有名な下関市の唐戸市場。そして、周辺は繁栄の象徴、明治・大正時代の有数な企業や金融会社の本・支店が建ち並んでいた町の中心だった。
このシンボリックな方位計のある建物は旧秋田商会ビル。1915年に唐戸の交差点北側に建設された。西日本初の鉄筋コンクリート造りビルである。その持ち主が海運会社として名をはせた秋田商会である。そのため、下関発展の生き証人とも言われる。

現在は、秋田商会の歴史をつなぐ資料館としても使われている。洋風の建物の中に、畳の和宴会場や屋上庭園などもある素敵な空間だ。また、夜にはライトアップも施され、荘厳さが増す。
復権を目指す町
さて、大陸との通商の要衝であった下関は、残念ながら1970年頃から交通インフラから取り残される。その結果、通過都市化していた。しかし、旧繁華街の復権を目指し、唐戸から下関駅の間を再開発を進める。複合商業施設(カモンワーフ)や水族館(海響館)が誕生した。また、対岸の門司港と共同で「ノスタルジック海峡」と称して、関門海峡という大きな面での新たな観光客の集客に努めている。
新しいモノ・コトにシフトすることも大切なことだ。しかし、古き良きものをしっかりと観光コンテンツ化することも大事なことだ。古き良きものは、唯一無二な存在だから・・・。
(2020.10.19.・2025.01.17.撮影)
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取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長