高野山は、標高800mの山上盆地に平安時代（816年）に空海（弘法大師）が開いた日本仏教の聖地だ。「一山境内地」と山全体が境内地である。そして、高野山真言宗の総本山金剛峯寺を中心とした宗教都市を形成している。山内には金剛峰寺をはじめ、117か寺が存在し、その半数が宿坊を兼ねている。

2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産として登録。和歌山県ひいては日本の代表的な宗教観光地として、年間120万人もの国内外の観光客が訪れている。

境内地は、曼荼羅思想に基づいた壇上伽藍と空海の御廟がある奥之院の二つの聖地に分かれる。歩いて廻ることも可能な町は、地上では考えられない隔世の空間である。また、南海電鉄難波駅からも特急電車に乗れば、日帰りで往復できる。そのため、昼間の時間帯は老若男女、数多くの観光客が闊歩している。

教えにふれる体験こそ･･･

しかし、宗教都市の荘厳さに触れるには、宿坊に泊まり、朝の「おつとめ」に参加することが重要だ。高野山を訪れる外国人も、その多くが慣れない布団で一夜を過ごし、早朝から活動を開始するという。朝の空気感は、最高の日本的な体験となるようだ。

大陸から伝来した飛鳥から奈良時代の宗教は、学問の一環であった。しかし、平安時代、最澄（伝教大師）が開いた天台宗（比叡山延暦寺）と共に「教え」の霊場となった。それ故、観光地とは一線を画したルールもある。私たちは、このことをしっかりと理解した上で、天空の聖地を訪れる必要がある。交通至便であっても、神仏のお膝元なのだから･･･。

（2014.11.15.撮影）

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取材・撮影　中村　修（なかむら・おさむ）　㈱ツーリンクス　取締役事業本部長