大井競馬場は、1950年に東京特別区が開場した地方競馬場だ。そして、1962年7月、全公営競技を通じて、初めてのナイター競争(トゥインクルレース)を開催した。ここは、羽田空港に向かうモノレールから眼下に見える場所。しかし、これまで入場する機会がなかった。
さて、東京オリンピック・パラリンピックを前にして、縁あって、競馬場内に入ることになった。初めて故、打合せに向かう運営会社が、どこから入るか分からず守衛所で足止め。その間に、彼方に聞こえる蹄の音と独特な臭いとともに、空は暮れていった。やっと、中に入ると広大な敷地は既に漆黒の闇。しかし、遮蔽物が無いため遠方の景観が良く見える。そして、西の空が真っ赤に染まり、東京特有の高層マンションがシルエットに変わっていく。広大な敷地ゆえ、競馬にしても競輪にしても、施設内はアミューズメントパークのように楽しい。
固定概念を打破すると

半年後の2018年10月、「メガイルミ」というイルミネーションイベントが開催された。これまで、馬は光を嫌うために夜間イベントは難しいと言われてきた。馬ならぬ人間が行き交うイベントである。場内をうまく活用したイルミネーションが、広大な敷地を光の広場に変えていた。
固定観念から脱却して、新たなことを作り上げる。観光業界には、このようなチャレンジが常に求められるものだ。
(2018.02.09.撮影)
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取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長