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地域創生撮影活動 第三章 写真が語る地域の魅力『伝わる力』

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絶景『明浜リアス378』

愛媛県伊予市から国道56号と別れ、宇和島市吉田町で国道56号に再び合流するまで、ひたすら瀬戸内海沿岸から伊方町で佐田岬半島の付け根部分を横断し、宇和海沿岸を往く国道がある。それが噂の絶景『明浜リアス378』だ。

写真でお伝えするだけでもかなりの数になる。四国西南の海岸沿いなので、朝陽は山からだが、夕陽は何とも言えない雰囲気を醸しだす。まるで、ジュルジュルと音をたてて海へ沈んでいるようだ。残念ながら写真は静止画なので、元々音が聞こえる訳ではない。しかし、音が聞こえるような写真を撮れとは亡くなった私の師匠が言っていた言葉だ。

だから、私が撮影するとき、特に被写体に水が絡んだりする場合や、ポートレートでも後ろ姿を描く場合などには「音が聞こえる画」に仕上げることを意識してシャッターを切る。

効果的な要素としては、まず季節、朝か、昼か、夜か等の時間帯。それに気象条件。例えば、霧が張っているかなど。そんな要素を肌で感じながらファインダーを覗く。そして、たまに全てが絡むことがある。それが、この写真だ。

【写真1】新月の夜の漁火(宇和海/南向き)

手前に「須崎海岸」、その向こうに「大島」の島影、さらにその向こうには佐田岬半島の「風の丘パーク」の風車群が見えている。

新月の夜の漁火(宇和海/南向き)
新月の夜の漁火(宇和海/南向き)

国道378号の宇和海沿岸線は、確かに「これが国道なのか?」と問いかけてみたくなるような「ポツンの道」も存在する。だが一方で、典型的な深いリアス式海岸であるため、海に突き出た「ハナ」に来ると景色は一変する。それが、夜になるとさらに変化する。新月の夜ともなれば「闇夜の絶景」と言って良い。

【写真2】漁火(宇和海/佐田岬半島方面)

次の写真は、カメラを宇和島市の遊子の段畑方向へ向けている。たくさんの灯りが海上に見えている。これが「漁火」だ。宇和島方面からも出港しているものと思われるが、明浜からも出ているようだ。左側にその船の軌跡と灯りが見えている。

撮影した5月26日は新月で大潮。真っ赤に焼けた夕焼けを撮影しながら、時間の経過と共に闇が深くなる。クルマを漁火を想定したポイントへと移動しスタンバイ。すると、次第に海上の灯りが増えていくではないか。凄い数だ。闇が深いのでピンを入れるのに一苦労。しかし、一度設定すると後はインターバルでいいので楽だ。だが、これは宇和海。佐田岬方面では様子が一変する。

漁火(宇和海/佐田岬半島方面)
漁火(宇和海/佐田岬半島方面)

佐田岬半島右側に名取地区の灯り、中央付近が「串(佐田三崎港)」、先端に燈台も見えているが、左側の灯りの集合体が大分別府。撮影場所では回れ右をしたら佐田岬半島なのだが、これほどまでに状況が違うとは驚きだ。でも、これは漁業スタイルの違いを物語っているようだ。全くの別世界であることに撮影していて正直驚いた。

【写真3】スターリンク

さて、昼間はさほどにないが、夜の星空などを撮影していると偶然の出会いに恵まれることがちょくちょくある。この写真は、4月19日に西予市明浜町の野福峠付近から撮影したものだが、このときも何やら不思議な動きをしている目視10個ほどの光る物体が北西の空にあった。下界の灯りは明浜町俵津、星空をよく観察しているといくつかの飛行機が確認できる。そして、ファインダーの右側に視線を向けると何だか規則的なのだけど不思議な動きをしている光る物体に出会った。

スターリンク
スターリンク

早速スマホで調べてみると「スターリンク衛星」だった。これはブロードバンドインターネット環境を確保するために打ち上げられている低軌道衛星の光で、ホントにたまたま偶然の出会いだった。

愛媛県西予市三瓶町から明浜町にかけての国道378号沿いは、入り組んだリアス式海岸であるが故の絶景を見ることができる。こうした素晴らしい自然を被写体とした撮影は楽しくもあり、撮影の腕を磨くこともできる。その結果、旅の良い思い出にもなる。インバウンドで異常なにぎわいを見せる町中と違って、ホントにゆっくりと喧噪から逃れてくつろぐ旅ができるので撮影旅にはオススメだ。

漁火(明浜町俵津/法華津湾)
漁火(明浜町俵津/法華津湾)

冒頭の写真は、「明浜の黄昏」

(これまでの寄稿は、こちらから) https://tms-media.jp/contributor/detail/?id=14

寄稿者 河野達郎(こうの・たつろう) 街づくり写真家 日本風景写真家協会会員

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