JALは11月28日、民間月面探査を手がけるispace(東京都中央区)と、JALエンジニアリング(JALEC)、商社のJALUXとともに、月面輸送・運航分野での協業に向けた基本合意書を締結した。
4社は、将来の月面での持続的な活動を支える輸送システムや基盤構築を目指し、地球と月を結ぶ新たな経済圏「シスルナ経済圏」の形成に向けて検討を加速させる。
ispaceは、月面で本格化が想定される輸送・探査・居住などの活動を見据え、持続可能なシスルナ経済圏の構築をビジョンに掲げている。一方、JALは「航空と同じ世界を、宇宙に」を掲げ、これまで70年の航空輸送で培った「安全・安心」のノウハウを宇宙輸送にも応用しようとしている。
両者は2015年の月面探査レース「Google Lunar XPRIZE」へのHAKUTO支援以降、長年にわたってランダーやローバーの航空輸送、推進系配管製作などで連携してきた。
今回の合意では、JALとJALECが航空整備技術、航空管制や運航管理の知見を活かし、ispaceのランダーや関連設備を対象に、将来的な月面での高頻度離着陸を支えるシステムづくりを進める。
また、JALUXが新たに加わったことで、一般顧客向け宇宙関連サービスの可能性が広がるほか、ispaceの月面輸送サービスにおけるペイロード(荷物)搭載枠の販売連携なども検討する。
4社は、月面と地上の活動をつなぐ新たな体験価値の創出にも挑むとしており、今回の基本合意がシスルナ経済圏の社会実装に向けた重要な一歩になるとしている。