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訪日390万人で10月過去最高、観光庁・村田長官「中国影響の予断控える」

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観光庁の村田茂樹長官は10月18日の定例会見で、10月の訪日外国人旅行者数が約390万人(前年同月比18%増)となり、10月として過去最高を更新したと発表した。アジア圏・欧米豪ともに堅調で、インバウンドは引き続き力強い回復基調にある。一方、国内旅行では、2025年7~9月期の日本人延べ旅行者数が約1・6億人(同4・6%増)、国内旅行消費額が約8・1兆円(同9%増)と四半期ベースで過去最高を記録。国内外ともに観光需要が拡大する中、地域への波及効果は16兆円規模に達したと試算される。また、中国の渡航自粛については「影響の予断控える」と答えている。

中国政府が自国民に「当面の間、日本への渡航を避けるよう注意喚起」した件について、村田長官は「外交ルートでやり取りが続いている段階で、影響の予断は控える」と述べた。現時点で訪日動向や影響の大きさを語る段階ではないとしつつ、ホテル・航空会社などの声を踏まえ、ヒアリングを含む状況把握を進める考えを示した。

観光分科会で議論が進む次期基本計画については、①オーバーツーリズム対策②地方誘客の強化(地方面での延べ宿泊者数を目標に設定)③住民生活の質と観光受入の両立―を柱に据える方向で概ね了承を得たと説明。観光客の偏在、都市部の混雑、マナー問題などの課題を踏まえ、「持続可能な観光への転換」を強く打ち出した。

村田長官は、4日の関係閣僚会議で高市総理が示した指示について、旅客税の拡充、日本人出国者への配慮、オーバーツーリズム防止と地方分散、民泊の適切な運営確保に言及した。旅客税の引き上げは「財源確保の観点からも議論が必要」としつつ、出入国環境の整備など日本人旅行者への還元も検討対象とした。

全国的にクマ出没が問題となる中、英国政府が日本渡航者への注意喚起を行った件については、「観光客への影響は認識している」と述べ、11月14日に決定された政府の「クマ被害対策パッケージ」に基づき、多言語での注意喚起、出没状況の情報発信、地域の安全対策の支援の3点を進めるとした。

韓国が中国人団体客のビザを免除した影響については、「韓国への需要増との声もある」「訪日全体への大きな影響はないとの声もある」と、旅行会社ヒアリングで評価が分かれたことを紹介。日本としては、景観、地場産業、文化体験、食といった独自資源を強みにプロモーションを強化する姿勢を示した。

会見では、中国情勢やクマ出没など不確実性が高まる中でも、「観光客受入れと住民生活の質の確保の両立」「持続可能な観光」を軸とした政策強化の方向性が明確に打ち出された。観光需要の増加を追い風に、国際旅客税の議論、次期基本計画の策定、地方分散策など、国の観光政策は大きな転換点を迎えている。

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