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観光プロモーションはシティセールスのドアノックツール ― Facebookが並走し、LTV視点で関係を育てる ―

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「観光」だけで終わらせない。いま、地域のシティセールスには、そんな視点が求められています。地方自治体の観光プロモーションは、これまで主に認知拡大や来訪者数の増加を目的に設計されてきました。そしてその多くは、「一度きりの来訪」を前提としているように見えます。実際、特定の土地に強い思い入れがある場合を除けば、同じ地域を何度も観光目的で訪れる人は多くありません。そのため、日本全国あるいは首都圏全体に向けて情報を発信し、まずは初来訪者獲得に注力する。これは観光プロモーションとして非常に妥当かつ合理的です。しかし、問題はその“先”にあります。

観光の先が設計されていないという課題

観光によって生まれた地域との接点が、その後の関係づくりにつながっていない。ここに、現在のシティセールス施策が抱える課題があります。せっかく地域に関心を持ってもらっても、来訪後に接点が途切れてしまえば、その関係は自然消滅します。結果として、「観光促進」という名のシティセールスは、毎年また新たな「初来訪者」を探し続けるだけになる構図から抜け出せません。

LTVという視点が、シティセールスを変える

民間企業、特にBtoC分野では、LTV(Life Time Value)という考え方が一般化しています。顧客と、一度の購入ではなく、生涯を通じてどれだけ関係を築けるか。その視点でマーケティングが設計されています。この考え方は、シティセールスにもそのまま当てはまります。観光は地域との関わりの「入口」にすぎません。そこから先、どれだけ関係が続くかが本質です。

観光をきっかけに地域に親しみを持ち、情報に触れ続け、やがて別の形で関わっていく。ふるさと納税、交流人口、関係人口、さらには移住へとつながる可能性も生まれます。

さらに、あまり世間では言われていませんが、プレゼントやご進物という風習も強化すべき分野だとおもいます。まさに、リアルなモノが動くSNSになります。

そして私たちは、コロナ禍という未曾有の経験を通じて、「人の移動が止まったとき、関係性を持っていなかった地域は、声すら届かなくなる」という現実を目の当たりにしました。観光を「その場限り」で終わらせず、関係づくりの起点として設計する。それが、アフターコロナで求められるシティセールスの形ではないでしょうか。

Facebookが担う「関係を育てる役割」

もっとも、ここまでの話を読んで、「そんなことは分かっている」「しかし、現実には難しい」と感じる方も少なくないはずです。実際、多くの現場では、すでにこうした課題を理解しています。「関係性が大事」「リピーターが重要」——それは誰もが分かっている。しかし、これといった施策が思いつかない、ということかもしれません。

そこで、容易にスタートできるSNSで、今、あまり積極的に使われていないFacebook の登場です。Facebook は、SNS 広告で“リーチを稼ぐ装置”としてだけ使うのではなく、すでに接点を持った人との関係を、時間をかけて育てていくためにも使うべきものです。

観光で生まれた接点を、ゆるやかに、無理なくつなぎ続ける。日常の風景、地域の人の声、小さな出来事。そうした投稿が、かつて地域を訪れた人のタイムラインに静かに流れていきます。「また見かけた」「なんだか懐かしい」「変わらず頑張っているな」。こうした感情の積み重ねが、関係を細く、しかし確実につないでいきます。

特に日本では、Facebook は、中高年層やビジネス層の利用者が多く、情報を文脈ごと受け取る傾向が強く、地域の歴史や文化、背景や物語を丁寧に伝えるうえで、非常に相性の良いツールだと言えるでしょう。もちろん、Instagram など他の SNS も重要です。ビジュアルによる訴求や、熱量の高いファンづくりにおいては欠かせない存在です。大切なのは優劣ではなく、それぞれの役割を理解したうえでの使い分けです。その中で、Facebook はあまりにも活用されていません。だからこそ今、「使えるものはすべて使う」という発想で、戦略的に組み込む価値があります。

観光を“点”で終わらせず、関係へと育てる

そして、言うまでもなく、Facebook は、まだその地を訪れていない人にも静かに情報を届けます。投稿記事を見たことをきっかけに地域を知り、何度か目にするうちに親近感が生まれる。やがてその人は、フォロワーになり「初来訪予備軍」になっていきます。観光が「認知と来訪」を担い、Facebook が「関係の継続」を担う。この並走が生まれれば、以下の流れが、自然に形づくられていきます。

認知 → 興味・共感 → 来訪 → 継続的な関係 → 別分野での関与(食・プレゼント・文化・交流・移住)

観光の隣に、Facebookを。

観光は、これからも地域の入口であり続けます。そして今後も、一定の予算が投じられていくでしょう。そのお金を単年度でフローで使い切るのではなく、次につながる関係づくりにも流用していく。そのためにFacebookを並走させる。点を線に。線を関係へ。その積み重ねこそが、これからのシティセールスを、静かに、しかし確実に支えていく力になるはずです。

寄稿者 菅原豊(すがはら・ゆたか)クロスボーダー㈱ 戦略PRプロデューサー

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