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自転車の青切符導入、観光業が考えておくべき注意ポイントは?

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2026年4月1日から自転車にも自動車と同じような反則金制度、いわゆる「青切符」が導入されることは、すでにあちこちで報道され、知らない人はほとんどいないだろう。

これまでは、悪質な違反の場合に刑事罰の対象となる「赤切符」があったが、自動車のような反則金や違反点数の制度はなく、軽微な違反の場合は警察官からその場で注意されるのみが多かった。

これまで注意のみだった違反の一つ一つに「青切符」によって反則金がひも付いたことで、ルールが厳格になって取り締まりも厳しくなる印象がある。

自転車は、運転免許が不要で手軽に使える交通手段として多くの人になじんだものであるため、もちろん、観光の現場にも深く根ざしている。今回は、自転車の「青切符」導入で観光業界ではどのような注意が必要なのかをまとめてみたい。

違反の内容は100種類以上で影響範囲は広い

観光における自転車の活用は「サイクルツーリズム」として、近年脚光を浴び、推進されている。

例えば、国では国土交通省がまとめた自転車活用推進計画が2018年に閣議決定され、その後も2021年に第2次自転車活用推進計画が閣議決定。サイクルツーリズム、サイクルスポーツ、自転車交通などの目標への取り組みが推進されている。

サイクルツーリズムと一口に言っても、長距離の自転車旅行から、観光地を自転車で回るサイクリングツアー、観光地の足としてのレンタサイクルなど、その内容はさまざまだが、いずれも今回の自転車への青切符導入の影響は大きいと思われる。

さらに、単純に観光と結びついた自転車の活用のみならず、観光関連の仕事の従業員の自転車通勤も含めて、影響は計り知れない。

自転車への青切符導入に関する報道や記事は非常に多いため、違反と反則金の詳細を挙げることはしないが、違反の内容は100種類以上、警察庁が公開したルールブックは全53ページと膨大で、これまで意識しなかった細かい点まで注意が必要なことから、戸惑いを感じる人も多く、うっかり違反をしてしまう懸念もある。

観光プランでも反則行為と道路の現状の熟知を

さて、自転車の交通違反で反則金が課せられたり、繰り返すことで「自転車運転者講習」を受講させられたりするのは違反した個人であるため、サイクルツーリズム関連サービスの利用低迷以外、企業には関係がないと考える人もいるかもしれない。

もちろん、利用客や従業員が自転車で交通違反をしたからといって、企業の責任が問われるケースはあまり考えられない。しかし、例えば、ガイドが利用者と一緒に自転車で移動するサイクリングツアーなどの場合は、ガイド自身が交通ルールを遵守するだけでなく、利用客にもルール遵守の徹底を図りつつ、ルールに沿ったスムーズな案内が求められる。

実は、ガイドが交通違反になる指示を出し、それに従った結果、利用者が取り締まりを受けたとしても、ガイドは青切符・反則金の対象とならず、利用者自身の違反となる。だが当然、サービスを提供する立場としての責任を利用者から問われた場合、責任ゼロという結論にはなりにくいだろう。

同じように、ツアーのプランやその案内資料なども、高低差や自動車の交通量といった情報だけでなく、今後は「自転車が通行可能な歩道の切り替わりが不自然」、「歩行者用信号に歩行者・自転車専用の指示があって従わなければならない」「一時停止が多い」といった交通違反に関する情報も考慮する必要が出てくるかもしれない。

取り締まりの対象が利用者だったとしても、ルールがわかりにくい箇所を頻繁に通るプランやガイドブックは強い不評を買いかねない。

自転車の駐車違反も罰金の対象だが…

では、ここからは可能性の話になってしまうが、自転車の運転者ではなく、企業が何らかの費用を負担したり、取り締まりに協力したりすることになるかもしれない場合について紹介する。

これまでなかった制度であるため、青切符の制度が実際に運用されるまで、現場の警察でどのような取り締まりが行われるのか正確にはわからないが、可能性の一つとして注意喚起しておきたい。

実は、自転車の青切符導入で、駐車違反についても9000円の反則金が設定されており、取り締まりの対象となる可能性が出ている。例えば、レンタサイクルの利用者が駐車違反をしたまま逃亡してしまった場合、警察は当然、貸し出したところにやって来ると思われるので、取り締まりに協力する必要が出てくるだろう。

ちなみに、自動車や自転車が属する軽車両でも750キログラム以上の車両であれば、運転者が駐車違反の反則金を納めない場合に、車両の使用者(持ち主)が放置違反金の納付を命じられる制度があるが、自転車は重量などで該当しないため、持ち主に放置違反金納付が命じられることはないはずだ。

とはいえ、運転者の捜査への協力は必要と思われるので、自転車の貸し出しでは今後、氏名や連絡先を控えておくべきだろう。アプリが必要なシェアサイクルなどは現在でも会員登録で氏名や連絡先を入力するが、公園やホテル・旅館などでの貸し出しでちゃんとした管理をしていない場合は注意すべきかもしれない。

いずれにせよ、自転車の貸し出しについては、これまで以上にしっかりとした管理に加え、交通違反や事故の場合の責任を利用者が負うことを明記した契約書や利用規約などの整備も必要になりそうだ。

これまで放置自転車については、自転車法に基づいて定められた自治体の条例によって撤去が行われ、保管された自転車の返還の際に手数料が徴収されていた。2026年4月以降、自転車の駐車違反の反則金と、撤去からの返還時の手数料が二重に発生する場合があるかなどは、筆者が調べた限りではわからなかった。このあたりも4月以降、注視したい。

なお、筆者が転職を支援しているシニアについては、70歳以上の場合、歩道を自転車で通行できる。とはいえ、あくまでも歩道で自転車に乗れるだけであり、歩道では車道側を徐行しなければならず、信号や一時停止の違反、傘差し禁止などは若者と変わらず反則金の対象であり、シニアだからこれまでどおりでよいわけではないので、十分注意してほしい。

寄稿者 中島康恵(なかじま・やすよし)㈱シニアジョブ代表取締役

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