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ユニバーサルツーリズムあ~だこ~だ vol.4「車いすでよさこい祭り、盲導犬とヨット、高知県のバリアフリー観光」

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 今回はユニバーサルツーリズムはハード面のバリアフリー整備されている観光地だけのことではなく、コンテンツが重要というお話をします。皆さんの観光地が、障がいがあっても高齢でも「行きたい!観光地、やりたい!プログラム」かどうかを考えるきっかけになればなによりです。

車いす女子がぞっこんになった高知のよさこい

 8月9〜11日、4年ぶりにコロナ前の規模で開催された高知のよさこいに行ってきました。目的は1年間よさこいで踊りたい! と言い続けてきた車いすユーチューバー眠梨桜(ねむりさくら)さんの高知よさこい旅のコーディネートと取材です。眠梨さんは、昨年度「令和4年度高知県バリアフリー観光推進事業」(すでにいくつかの自治体では、年度の事業としてユニバーサルツーリズム推進、バリアフリー観光推進が事業化されています)で、モニターとしてよさこいに参加してもらいました。

昨年のよさこいの様子:https://officefuchi.amebaownd.com/posts/36714881

 高知県のバリアフリー観光サイト(https://kochitourism-barrierfree.jp/)でも紹介されています。

 初参加でよさこいに魅了された彼女はその後、原宿の「スーパーよさこい」をはじめとして、関東で開催されるよさこいに観覧に行くほどに。今年は個人旅行として参加したいとなり手配からお手伝いしてきました。そして、8月9日前夜祭から観覧! のはずでしたが、迷走台風6号の影響で夕方到着するはずだった航空機は、高知空港周辺線状降水帯のために羽田に引き返してしまったのです。お盆とよさこいが重なり翌日の便への振替えは困難だろう、今回はキャンセルしなくてはいけないかもと先乗りしていた私は思いました。

 しかし、彼女のよさこい愛はこの程度であきらめることにはならなかったのです。羽田から品川、品川から岡山行きの最終の新幹線に飛び乗り深夜岡山のホテルに泊まり、8月10日の南風1号で四国に入ってきたのです! ただただよさこいで踊りたい!という思いが彼女をここまで動かしました。

よさこいの様子

 そして無事高知にたどり着き、10日の夕方から参加することができました。今年も参加したのは「あったか高知踊り子隊」。このチームは高知市のホテル旅館組合が運営主体となり観光客だけが参加できます。

 昨年は受け入れ側も初めてだったので、お互い確認し合いながらでしたが、今年は集合場所の市役所前広場で合流した途端に「おかえりー」「ただいまー」の声が。昨年ご一緒した他の参加者との再会など、まるで故郷に帰ってきたかのようでした。

あったか高知踊り子隊

 ユニバーサルツーリズムと聞くと、障がい者専用ツアー、プログラムをイメージしがちですが、このような既存のイベントや祭りのバリアフリー受入れ対応も検討してみてはどうでしょうか。祭りや花火のパンフレットに、バリアフリートイレの場所や車いすでのアクセスルートを表記する、可能であれば車いす、介助者用スペースを確保するなど、すぐにでもできることはありますよね。

 今年のトラブル・トラベルの様子、お時間あれば彼女のYouTubeをご覧ください。車いす女子の旅への情熱を感じていただけると思います。

眠梨桜YouTube 台風トラブル編

眠梨桜YouTube 高知よさこい編

念願のヨット体験が高知で叶う

 9月2〜5日は、全盲のご夫妻&盲導犬エディとの高知旅でした。

望月夫妻(左、右)
望月夫妻(左、右)

 東京あきる野市で鍼灸院を営む望月夫妻、私とは旅行会社時代に企画していた「視覚障がい者(盲導犬)と巡る四国八十八ヶ所お遍路ツアー」に2巡参加されたお客様で、今では年に数回鍼治療に通う先生でもあります。私が2018年から高知県のバリアフリー観光推進事業に関わっていて、高知では視覚障がい者でもヨット体験ができるとお話すると「絶対にやりたい!」と、言い続けておられました。

 なかなかその機会が訪れなかったのですが、このたび四万十市よりバリアフリー観光セミナーの依頼を受け、四万十川遊覧船組合の皆さまから「視覚障がい者を船にどうやって誘導したらよいか?どのように遊覧船、四万十川の魅力を伝えたらよいか?」という課題をいただいたので、それならば当事者に実際に体験してもらおうとご夫妻を誘い、ヨット体験も企画したというわけです。

YASU海の駅クラブ

 2018年からお付き合いのある「YASU海の駅クラブ」の協力のもと、ご夫妻&エディで土佐湾でのヨットを存分に楽しんでいただけました。

YASU海の駅クラブ
YASU海の駅クラブ

 ご主人曰く「ヨットはハマった、絶対にまた来るよ」とのこと。

 四万十市でのバリアフリー観光セミナーも、交通、宿泊、飲食、観光と幅広く観光関係者に参加いただき、皆さんで「誰もが楽しむ四万十」を考える機会になりました。

「誰もが楽しむ四万十」
「誰もが楽しむ四万十」
「誰もが楽しむ四万十」
高知新聞 9月5日

四万十市バリアフリー観光セミナーの様子:https://officefuchi.amebaownd.com/posts/47616989

 次回以降も、あ~だこ~だと事例を紹介していきます。

寄稿者 渕山知弘(ふちやま・ともひろ)ユニバーサルツーリズム・アドバイザー / オフィス・フチ代表

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