寄稿にあたり
観光庁のユニバーサルツーリズム(以下UT)促進事業のサイトには、「UTとは、すべての人が楽しめるよう創られた旅行であり、高齢や障がい等の有無にかかわらず、誰もが気兼ねなく参加できる旅行を目指しています。」とあり、平成23年度から年度ごとに報告書や資料が公開されています。
【観光庁 UT促進事業】
https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/sangyou/manyuaru.html
数あるツーリズムのテーマの1つについて、旅行業界で30年働き、そのうち約20年UTに携わり、直近の3年間はいくつかの自治体のUT推進事業をアドバイザーとしてお手伝いしてきた立場で、これからあ~だこ~だと書こうと思います。
この記事を読まれる自治体や観光関係者の皆さんに参考にしていただき何かのヒントになれば幸いです。
そもそも「ユニバーサルツーリズム」という言葉はご存知ですか?
「UTという言葉を今まで聞いたことある方手を挙げてください」とセミナー参加者に投げかけることがありますが、10年ほど前は宿泊事業者を100人対象にした会場でも手が挙がるのはわずか5名程でした。
その後徐々にですが認知度は高まり、自治体が積極的に推進している地域では半数以上の手が挙がる状況にここ数年変化してきました。しかしそれは、推進している地域では…であり、地域・施設間の認識の差は広がりつつあるというのが私の印象です、皆さんの地域、施設ではいかがでしょうか。
今回は宿泊施設の対応を一例だけ紹介します。ある宿はHPのQ&Aバリアフリー対応のところに「車椅子の貸出しあり。車椅子で館内は段差なく移動できますが、客室(和室)内はご遠慮ください」と文字だけの情報があります。すでに多くの宿では、タイヤを拭くタオル等を用意して和室内も普通に利用されていることをご存知ないケースです。
一方取組みに積極的な宿の中には貸出し用車椅子を客室(和室)内で撮った画像をHPに掲載しているところもあります。
http://www.naniwa-i.com/restaurant
車椅子を使うおじいちゃんとの宿を探すご家族は、細かい情報も確認しながら宿選びをされていますよ。
次回以降も、あ~だこ~だと事例を紹介していきます。
寄稿者:渕山知弘(ふちやま・ともひろ)
1969年広島県生まれ。埼玉県在住。1990年~2020年まで旅行会社で勤務。そのうち20年以上ユニバーサルツーリズムに携わる。観光庁ユニバーサルツーリズム促進事業検討会委員(2011、2014~2016年)、日本旅行業協会(JATA)ユニバーサルツーリズム推進部会 部会長(2019~2020年)、バリアフリーお遍路の旅ツアー開発(ツアーオブザイヤー2009審査員特別賞)、世界初!視覚障がい者夢の自動車運転ツアー開発(第2回ジャパンツーリズムアワード受賞)、2012年車いすで乗降できる人力車を浅草「時代屋」と共同開発、2022年~高知県観光特使