①アフターコロナにおける反転攻勢
4年近くにわたり、新型コロナウイルス感染症に苦しめられてきた本県観光産業にも、ようやく以前の活気が戻りつつある。急速に回復する観光需要を取り込み、地域へ観光客を呼び込み、地域内の消費拡大を図るためには、コロナ禍を経て今後ますます多様化していく旅行者のニーズに対応した新たな取り組みが求められている。
②若者をターゲットにした誘客の取り組み
スマートフォンなどのデジタルデバイスの普及が進んだ現代において、旅行者が情報収集に使用するツールは、旅行パンフレットや雑誌からウェブサイトやSNSに変化し、特に若者世代においてはSNSやウェブサイトによる情報収集は必須と言って良い。将来のマーケットとしても期待できる若者層への効果的なアプローチ方法を検討するため、今年度から、広島経済大学の「若旅促進プロジェクト(※)」のメンバーと新たな事業を開始した。今回はこの取り組みについて紹介したい。
(※)「若旅促進プロジェクト」とは?=広島経済大学の人間力を育成する取り組みである「興動館プロジェクト」の一つ。旅行需要を増加させることで、観光による地方創生実現を目的に、実際に若者が現地に足を運び、課題解決方法を考える取り組み。
③若者自らがプランを作成
4月から、同プロジェクトメンバーと数回にわたってオンラインで話し合いながら検討を重ね、次の2点を柱に事業を進めることとした。
①鳥取県の一般的な観光地だけでなく若者ならではの視点で県内観光資源を発掘し、旅行者(若者)自らが趣味嗜好に合わせて旅行プランを作成できるモデルプランを作成する
②若者世代に効果的に情報を届け、誘客につなげるための手法(主にインターネットメディアを活用)を検証する
最初にプロジェクトメンバーの学生自らが、SNS及びウェブサイトなどのネット上で入手可能な情報をもとに、鳥取県内の観光地やグルメ情報を収集し、適宜、連盟職員のアドバイスを受けながらリストアップ化した。9月にはリストアップ化した観光コンテンツを体験してもらい、現在はプロジェクトメンバーが中心となって最終的なモデルプランを造成しているところである。
今年度の後半は、造成したモデルプランを活用し、ターゲットである若者に効果的に情報伝える方法を検証するため、プロジェクトメンバーの知見を生かしながら、WEBサイトとSNSを組み合わせた情報発信を予定している。最終的な事業成果が出るのは今しばらく先となるが、当連盟としては、今回の事業結果を次年度以降の若者をターゲットにしたプロモーション戦略に活用していきたい。
寄稿者 田中規靖(たなか・のりやす) (公社)鳥取県観光連盟専務理事