以前にも触れたことがありますが、日本全国にある自治体の中で、観光の対応をしている自治体の観光課や観光協会などを組織している町は、日本全体の自治体約1800自治体の中で約500ぐらいと言われてます。それを聞くと全体的には少ないような気がしますが、日本の観光地比率から見れば、相当数のような感じがします。
ただ、自治体の相談やアドバイスの依頼を頼まれると、いつも「まずは〜ココを改善しないと〜」の話となります。それは多くの自治体の観光職員の業務のほとんどが、祭りや文化催事や観光関係施設管理に対する業務であり、将来的な戦略や誘客や企画に対応する人員配置ではありません。
行政の中に観光課があったとしても、ほとんどが祭催事の対応であって準備である実行委員会の仕事を担っているだけで、年中日々作業に終わる姿を目にします。最近では、自治体の職員ですら人手不足の状態であり、当然、国の国策事業や補助事業等を検討して実行するだけの余裕や時間もありません。さらに、自治体内での来期の観光戦略の概算予算等の検討や要求に対しても、深く掘り下げた正確な予算要求なども十分にできる状態とはなっていません。
最近の観光業界と変化については、ソーシャルメディアやコロナ禍の関係で加速化している事は間違いありません。
現状として来期予算や来期の実務内容を半年前の11月や12月に決定し、4月から実行するという事実上のサイクルですら周回遅れの対応であり、無理がある状態の中で、さらに的を外す状況になっています。
せめて、観光課の中で、企画や戦略を担当する企画チームと催事を管理実行する運営チームをしっかり職務分掌を行い対応する必要があります。
特に自治体は、定期的な短いサイクルでの人事異動が観光には適していないと言われます。観光分野に関しては、まさに新しい分野で現在成長中のセクションだと位置付けし、上手な引き継ぎや専門的な担当者を育成すべき考慮が必要ではないでしょうか。
寄稿者 小高直弘(こだか・なおひろ)㈱KDKソリューション代表取締役社長 / 名鉄観光サービス㈱特別顧問 等