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地域のリーダーを育む特別な旅

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ポケットカルチャーの新たな挑戦

 1年弱というわずかな期間であったが、昨年、故郷である群馬県のDMO(観光地域づくり法人)に勤務する機会を得た。地域DMOが抱える諸課題については、すでに多くの識者が指摘しており言をまたないが、仕事を通じてつくづく感じたのは「地域づくりは人づくり」という当たり前の事実であった。

 いくら自治体が旗を振り、補助金をつぎこんだり、一発もののイベントを誘致したりしても、持続可能な地域づくりは行えない。やはり、熱い志としっかりした戦略思考、そして人を惹きつける人間的魅力を有するリーダーの存在が官民双方に不可欠である。しかし、現実は未だ多くの地域において、昔ながらの保守的風土、若者の「出る杭」を打ち続ける老人支配のコミュニティ、政官民のもたれあいの構図といった課題に悪戦苦闘している若手リーダーも多い。

 そんな地域の若手経営者がリーダーシップや戦略思考を磨き、また地域を超えた人的ネットワークを広げるための支援の旅行商品として、ポケットカルチャーが新たな挑戦「Executive Journey(エグゼクティブジャーニー)」を開始した。

 その記念すべき第1回目が、本年9月に催行され、13人の地域の若手経営者が都内および富士山麓西湖での2泊3日のジャーニー(旅)へ参加した。講師陣やスタッフ陣としても、ポケットカルチャーCEOの冨塚優氏の「地域の若手リーダーを応援することで日本を元気にしたい」という熱い想いに賛同した、多くのそうそうたる各界リーダーが参画している。

 地域の若き経営者たちはまさに分刻みのスケジュールで多くの経営者、経済人と対話、交流し、自らを振り返る過密な日程を元気に精力的にこなしていった。対話型の学び以外にも、西湖でのHOBIE(足こぎのカヤック)体験やBBQ、深夜まで飲み語らうという、まさに寝食を共にする共通体験型のツアーであり、参加者間の絆もいやおうなく深まっていく。

 不肖、私も経営リーダーの端くれとして、メンター役で後半の1泊2日、西湖でのプログラムのお手伝いをさせていただき、彼ら彼女らと交流を重ねることで自分自身が多くの気づきとエネルギーをいただいた。

旅が生み出すシナジーと旅行会社の新たな役割の可能性

レクスポート 江利川宗光 「Executive Journey(エグゼクティブジャーニー)」
レクスポート 江利川宗光 「Executive Journey(エグゼクティブジャーニー)」

 今回の取り組みには、過去からの「研修旅行」や「教育旅行」の範疇に収まらない旅行会社や企画運営会社の未知なる可能性を感じた。特に、個人的に感じた注目すべき点として以下2点をあげたい。

  1. 地方からの若手経営者との交流により、講師やメンターとして支援・参画する側にも新たな気づきやエネルギーが注入され、双方向での「化学反応」が起き、将来に向けて新たなビジネスチャンスや首都圏と地域の交流の可能性が生まれ得ることである。私自身、メンターとしての参加で非常にモチベーションも高まったし、数名の参加者とはその後もSNSを通じて、メンタリングのお手伝いをさせていただいている。また、私を含めたメンター仲間同士でも新たな知己を得て、早速、個人的な交流もスタートしており、まさに人的ネットワークの無限の広がりにつながっていく。
  2. 首都圏から地域を応援しようと思った場合、つい「こちらから地域に入り込む必要がある」という発想になりがちだが、実際には地域にスムーズに受け入れられるケースばかりではない。逆に、ポテンシャルの高い若手経営者を「地域から引っ張り出してくる」ことも大変意義があるし、非常に効果的、効率的であるとも感じた。小生自身、昨年は群馬に戻り故郷の地域創生に貢献しようと考えたものの、志半ばで自宅に戻ることになった。しかし、それで終わりでなく、今回のように地域を超えて飛び出してきた彼ら、彼女らをしっかりと受け止めてあげることで地域を応援できるということを実感している。

 旅という非日常の時間、空間を使って社会課題の解決に向けて新たな役割を果たすことが、旅行会社や企画運営会社には求められている。そんな挑戦に一歩踏み出したポケットカルチャーの次なる一手を楽しみにしつつ、小生も地域のために微力ながらお手伝いしていきたい。

寄稿者 江利川宗光(えりかわ・むねみつ)㈱レクスポート 専務取締役 企画管理本部長

レクスポート 江利川宗光
富士山麓西湖で開かれた「Executive Journey」
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