このタイトルのように、誰が主体となって観光行政の事業を展開するのか? 誰が先頭に立って観光を取り回していくのか? と言う質問が講演会やセミナーや、行政の打ち合わせなどで良く上がります。
行政が主導して力を入れれば、結果は残る
質問内容は、どのまちも概ね同様ですが、結論としては「まちの方向性や結果を残しているのは、行政自体が主導して力を入れているまち」です。
行政が下地を作り、舞台や土俵を作り、方向性や将来ビジョンをしっかりと策定した初動の上で、民間事業者に参加してもらう。さらに行政が折り重ねることで調整や発展を繰り返すと言う手法を展開したまちの成功事例の方が多いような気がします。
行政はスキルや知識の向上を
まずは、行政自体がしっかりとスキルを持ち、学習して戦略や事業を立ち上げなくてはいけません! その後、民間事業者それぞれの専門家の立場の意見を聞く、最後に行政として必要な事業や予算を策定し指示を出し、民間事業者の方々に参加していただくように施すことが必要です。
いかなる場合も、行政マンの知識の高さと的確な判断がいかに重要だと言うことが分かります。適当な考えや間違った判断では意味がありません。
民間事業者にまちの方針や観光計画の策定や協力をお願いする場合も、私の主観ですが不必要な時間の関係も考えれば、7割から8割位までは概要や外枠を行政側で作り込んだ上で、最終的に民間事業者に参加していただく手法の方が確実な着地をすると考えられます。
そもそも行政事業の公示の場合にも
●必要な事業と考える判断/行政
●具体的な事業を作って一般公示、募集、業者採択する/行政
●行政の仕様書の下で事業参加して実行する/民間
●事業の是非を決める/行政
このようなことを考えると、すでに予算や事業化の大半は行政がおこなっており、しっかりと事業内容や成果物を要求していながら、改めて民間主導と言っても全く意味がないように感じます。
民間はプレイヤー、行政がまちの将来を決める
民間はあくまでもプレイヤーであり、各まちの観光の稼ぐ力であり、各個々の事業を活かす組織であります。まちの方針や将来を決める立場ではありません。スキルを持った行政自体が、他の自治体やマーケットの情報をしっかりと捉えてまちの中心に立ち、腹を決めることで、次のステージへと駒を進められるはずです。
寄稿者 小高直弘(こだか・なおひろ)㈱KDKソリューション代表取締役社長 / 名鉄観光サービス㈱特別顧問 等