北イタリア生まれの人気デザート・ティラミス。その意味は<私を元気にして>だそうです。仕事先の旅館で蟹のコース料理をいただく。その際、最後のスィーツが美味しすぎて、この「言の葉」を思い出しました。
人を幸せにするスィーツ、ホテルなどビュッフェ形式の宿泊施設では力を入れています。しかし、旅館ではなかなか、そこまでのところは無いように思います。
今回は、前回のカレーに続き、<食・スィーツ>を切り口に選ばれる宿泊施設についてまとめてみました。
宿泊プラン名に<スィーツ>=「飛騨高山」スィーツデートプラン
数多い宿泊施設のプラン。プラン名にスィーツがつくだけでなんだかワクワクして注目してしまいませんか?
【スィーツデートプラン:次の休日は温泉デートを楽しみたい、たまには夫婦水入らずでしっとり素敵な夜を過ごしませんか?】
甘いスィーツ×甘いデートを合わせた女性に響きそうな<旅館 清龍>さんのプランです。
スィーツに特化した内容。夕食後のデザートを和スィーツ盛り合わせにグレードアップ。そして、古き町並み飛騨高山の町屋カフェで和スィーツをお二人で楽しむというものです。「地域スィーツ」×「旅館」のプラン、いろいろ楽しみが広がります。
清龍さんが提携しているこの町屋カフェは、私たち「AO STYLE」と同じ経営<Café 青>。プラン販売をして長らく、たくさんのお客様が来店してくださっています。
女性がときめく演出=「金沢」和のウェルカムスィーツ
次に、私たちが全館デザインをさせていただいた湯涌温泉の<金沢百楽荘 彩心IROHA>さん。女性に特化した宿づくりをコンセプトに進めました際に、ウェルカムスィーツの演出にも関わらせていただきました。
私たち「AO STYLE」、お料理は専門ではありません。しかし、<お着き菓子>と呼ばれる到着時のお菓子とお茶をセッティングしたコーディネートは、よくご依頼をいただきます。
百楽荘さんではアフタヌーンティーに使われる3段トレーに花びら型のお皿を合わせます。そして、少しヨーロピアンな印象の茶器と一緒にお客様に提供しています。
この和のスィーツ、お泊りいただいたお客様のほとんどが写真をお撮りになるようです。そして、そのSNSの投稿を目にするたび、とても幸せな気持ちになります。
宿主の趣味はスィーツ作り?=「京丹後」ラストを飾る一品
私たち、コンサルタントの間では、京丹後は業績を上げるにはとても難しい地域と言われています。その理由は、<人がなかなか旅行に赴かない場所なのに、秀逸な宿が多いから>だとか。
しかし、私はこのエリアにご縁が多く、中でもたった4室の宿<はなれ 空遥>さんは開業から携わってきました。
<私を元気にして>くれた蟹のコース料理のあとのスィーツ。
こちらの社長が作られているのです。きっかけは、ご近所に開業した洋菓子店だとか。その洋菓子店オーナーは外資系ホテルのペストリーシェフをなさっていた方。その上、匠の技を惜しみなく教えてくださるそうです。
今では、デザート作りがもう社長の趣味のようになっています。
パティシエを雇用している宿も少ない中、宿主本人が楽しみながら作るデザート。それは、お客様の宿選びの大きな魅力になっています。
差別化が図りやすいスィーツやドリンク
お客様が年に数回、旅先でいただく旅館の料理。求められるものは宿泊単価によりさまざまですが、どうしてもよく似た料理の構成になりがちです。
しかし、スィーツやドリンクは、地域性やその宿の個性を出しやすく、競合施設との差別化が図りやすいと思います。特にスィーツは器を買い替えてもコストもそこまでかからず、演出もしやすい。
スィーツに独創性を持たせることによって、お客様に選ばれる宿泊施設に、まだまだ、進化しそうな宿のスィーツですね。
(これまでの寄稿は、こちらから) https://tms-media.jp/contributor/detail/?id=25
(すみやのHPは、こちらです) https://www.sumiya-villa.com/
寄稿者 住百合子(すみ・ゆりこ) AO STYLE インテリアデザイナー・コーディネーター