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持続可能な『三方良しの観光』が、地域間競争の勝ち組となる

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 「三方良し」は近江商人の商いの秘訣で、「売り手」「買い手」「世間」それぞれに有益な商いを心掛けるべきと説いたもの。観光まちづくりに取り組む人達の間では以前から使われてきた言葉で、「観光事業者」「観光客」「地域(住民)」にとって有益な観光を意味する。「三方良し」の観光はインバウンドの急増により各地でオーバーツーリズムの問題が発生してきたことで改めて注目されるようになった。最近はサスティナブルツーリズムを考える上でも使われることも多いように思う。

 「三方良しの」観光は、DMOの先進地で「観光で稼ぐ」お手本だとされるアメリカでも始まっている。2019年にマディソンで開催されたDMOの全国大会のテーマは「アドボカシー=DMO活動に対する社会(地元)の評価」

 米国社会は人種問題、貧富の格差、LGPT等様々な課題を抱えている。

 ハワイでは観光客による環境汚染などが取り沙汰されている。

 冒頭主催者からは、こうした社会課題にDMOがどう立ち向かうかを突きつけられているとの説明があり、「ステークホルダーエンゲージメント」という新たなミッションが発表された。

 「インダストリー」「マーケット」「コミュニティ」の利害関係者にメリットを約束しようという「三方良し」の観光そのものだった。

 「三方良し」は合理的な考え方だが実現のハードルは高い。

 特に、観光に取組む意義に関して地域社会の合意を得ることは難しい。これから地方の収入がなかなか上がらないことが想定される中、地方自治体やDMOの観光戦略の本質が問われてくると思う。

(出典:観光庁ホームページ)

寄稿者 福井善朗(ふくい・よしろう)(一社)山陰インバウンド機構代表理事

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