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観光とデジタル地域通貨の新たな関係(その1)

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 デジタル地域通貨という地域限定版のQRコード決済の仕組みを全国13ヵ所で提供しています、フィノバレー代表の川田です。

 「地域通貨」と「観光」って、本質は「地域」を盛り上げるという目的が共通なので、何となく相性が良さそうな気もしませんか。

 現に、さまざまな地域やDMOから、「観光」をテーマにご相談をいただく機会も多いです。この連載では、実際に弊社がどのような取り組みをしていて、どのような可能性が今後ありそうと考えているのかについて、数回にわたってお話をさせていただきます。

(全国旅行支援などでの)地域クーポンでの活用

 新型コロナ対応での観光需要喚起策として、全国47都道府県で実施している全国旅行支援などでの地域クーポン(電子クーポン)がありますが、弊社の場合は、岐阜県(ぎふ旅コイン)、富山県(とやマネー)で「地域通貨」の仕組みを活用して実施をしています。

ぎふ旅コイン(左)、とやマネー

 宿泊先でポイント用のQRコードが印字されているカードを宿泊者に配布し、専用スマートフォンアプリに登録いただいた上で、QRコードを読み込んでポイントを受け取っていただきます。

 使う時は、店頭に掲示されているQRコードをスマートフォンアプリから読み取って、支払う金額をユーザー自身で入力して支払い(決済)いただく流れとなります。

 「ぎふ旅コイン(岐阜県)」は県民割のタイミングの2021年10月から、「とやマネー(富山県)」は今年(2023年)1月から実施をしています。「ぎふ旅コイン」が県内約5,000箇所、「とやマネー」が県内約3,000箇所の店舗で利用可能で、それぞれ累計50億円分、15億円分が配布され、ご利用いただいています。(2023年6月現在)

 これらの機能は、デジタル地域通貨で作られたシステムがベースとなっています。

 ポイントとなるのが、地域通貨で培われたその他の機能もパッケージになっていること。「ぎふ旅コイン」では、県全体施策の地域クーポンの配布だけでなく、全体店舗のうち一部の限定された店舗でしか使えない専用ポイント機能を使って県内の特定地域のキャンペーンで活用しています。また、スタンプラリー機能を利用してイベントと連動したキャンペーンで活用するなど、プラットフォームを活かし、全国旅行支援の地域クーポン以外での利用も容易にできるのが特徴となっています。

ぎふ旅コイン道の駅スタンプラリー
ぎふ旅コイン道の駅スタンプラリー(スマートフォン)

 これまでの紙のクーポンに対して、ITに不慣れな方への配慮は必要なものの、デジタルクーポンは運営側だけなく利用者・事業者それぞれに、多くのメリットがあります。

 まずは、紙の発行や店舗から事務局への収集・勘定など、たくさんの人手がかかっていた業務が不要になります。費用の低減のみならず、人手不足のご時世ですのでその効果はとても大きいです。

 また、1円単位で利用ができるので利用者もより使いやすくなります。加盟店の情報も随時更新ができ、アプリの地図データから店舗を検索し、現在地からの行き方を検索することも可能です。ポイント付与や利用(決済)などの各種データもリアルタイムで更新されるので、利用状況などをタイムリーにデータ分析することが可能です。

 さらに、専用スマートフォンアプリを通じたお知らせ配信などの情報配信もできるので、有効期限間近での注意喚起や、各種イベント・観光情報の配信、アンケートの実施などを通じて旅行者のリピート化を目指した取り組みが可能となります。

 まさに一粒で二度、三度美味しい仕組みに発展できる可能性がありますが、それを活かすには、システムはもちろんのこと、しっかりとした活用のイメージや戦略、それに応じた運用体制を構築することが肝要です。

 次回以降は、さらなる活用について、実際の事例や地域通貨で培われたアイディアの観光分野での応用について綴っていきます。

 ※QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です。

寄稿者 川田修平(かわた・しゅうへい)㈱フィノバレー代表取締役社長

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