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昆布から生まれる新たな出会い 北前船が内陸つなぐ|北前船交流拡大機構 浜名正勝参与インタビュー

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 江戸時代から明治時代の交易を担った北前船の寄港地が交流する「第34回北前船寄港地フォーラムin ひがし北海道・くしろ」、 “地域間交流拡大”を強力に推し進め、地域の活性化に向けた課題解決に取り組む「第5回地域連携研究所大会」が2024年6月30日に開かれた。北前船交流拡大機構の浜名正勝参与に、北海道・釧路でのフォーラム・大会や道東観光への思いを聞いた。(取材は6月29日に北海道釧路市の釧路市観光国際交流センターで)

北前船交流拡大機構 浜名正勝参与

――「第34回北前船寄港地フォーラムin ひがし北海道・くしろ」「第5回地域連携研究所大会」が北海道釧路で開かれることとなったが、受け入れ側としての思いを伺いたい。

 フォーラム・大会だが、北海道ではこれまで松前、函館、江差、小樽・石狩と4回開かれてきた。今回は5回目の開催となるが、日本海側や道南ではなく初めてオホーツク海、太平洋の地で開かれる。北海道はとても広く、道南が全てではない。北前船との関係は、これまで道民においても、道東での関わりまではあまり考えてこなかった。よく考えると、松前や江差も小さな町で、目の前に全ての物産があったわけではなく、北海道中から集め、最終的に外に出していた。明治期以降における函館や小樽も同様であり、共通して港の周辺には倉庫群が多い。北前船主も倉庫業で大きくなった。

 準備は2年前から始め、事前の勉強会を帯広や釧路、根室、網走で行ってきた。根室、釧路においては、北前船の名前を付けた勉強会は初めてだった。帯広に至っては、内陸でなぜ北前船なのかという声も上がった。だが、港には内陸から川船を使い運ばれた特産物が集められ、結果的に北前船で日本各地に運ばれている。これは、舟運、水運、川船文化につながる。北海道に流れる石狩川も十勝川も天塩川においても、大きな河川には全て舟運文化があり、内陸のものを港に運んでいる。そう考えると、寄港地フォーラムではあるが、寄港地はカッコとしても良い。北前船フォーラムとすれば、全ての地域が入ることとなる。道東で開催することとなり、改めて北前船が広く、奥深く、大きな価値を持つこととなった。

 来年は、フォーラム・大会が長野で開かれるが、海なし県である長野も川船文化でつながる。北前船フォーラムの演題としても、このようなテーマが議題に上がってくるだろう。北前船交流拡大機構の兄弟組織となる地域連携研究所は、港がない地域も含みながら組織を作ってきたが、これらの考え方によりつながる。

――北前船寄港地フォーラムでは、食文化、特に昆布の物語が打ち出されている。

 今回のフォーラムでは、新しい視点を含めて3本の柱を立てた。1つは、「昆布物語」を総集編として披露する。昆布そのものは、これまでのフォーラムで幾度か取り上げられたテーマであるが、昆布の原産地である道東で開かれることから総集編と銘を打った。会場内の北海道に関する展示でも、長い、細い、広いなど多種多様の昆布の紹介を行っている。

 昆布は、国内だけでなく海外に向けても流通されている。特に、密貿易を含めた中国へと輸出された昆布の多くは、釧路の長昆布だった。これは、沖縄大会でも発表されているもので、沖縄の琉球経由で中国に運ばれている。当時、昆布は薬として売られるなど貴重な品だったが、沖縄料理においても刻み昆布の使用が目立つ。切れ端を使い、昆布を無駄にしないためでもあるが、昆布を豚に結んで煮るなど、食文化においても名残がある。

 和食はユネスコ無形文化遺産として世界に認知されているが、だしとしての昆布に注目してもらいたい。だしには昆布とかつおが欠かせないが、特に昆布がないとできない。この基盤は、最近の話ではなく、実は江戸時代から長﨑経由で中国に売られた時代にまでさかのぼる。和食の素晴らしさと昆布の必要性の意義を一緒に発信することで、国内外への理解は一層深まるはずだ。今回は、福井県の昆布商である奥井海生堂の奥井隆社長が会場に訪れて講演を行うが、奥井社長は必ずうま味は産まれた時に飲む母乳の中に入っており、そのうま味が分かる人は昆布を必要にする話をされる。母乳はうま味であり、うま味は昆布そのものである。だから広がっている。

――今までの長い歴史の中で日本食、和食の中心に昆布を据えるということは新しい。

 残念ながら、昆布を含めて産地には総じて言えるが、地元ほど当たり前すぎて本当の価値に気付かず、他所で花が開くことが多い。昆布を例に挙げると、北海道の人はあまり昆布を食べていないし、漁師の多くが昆布を食べないで調味料を使っている。今回は、昆布で地域を盛り上げようと、地元の婦人たちが「昆布プリンセス」を結成した。昆布を活用することを、日常生活から始める取り組みだ。

 このようなさまざまなことがフォーラム・大会をきっかけに生まれている。これからも昆布を契機とした北前船のつながりも拡大していきたい。

聞き手 ツーリズムメディアサービス代表 長木利通

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