先週まで、ノースリーブで過ごしていたのに寒くなった飛騨高山、今夜あたりからいよいよ毛布が必要になりそうです。町中に溢れるインバウンドも、長袖が増えているようにも感じます。今週は秋の高山祭、一年は早いものです。
何処も、宿泊税の導入を検討するように・・・
オーバーツーリズム対策の財源にと、各地で宿泊税の検討がされています。そのため、私も昨年末より高山市のプロジェクトに参加させていただいています。日本全国の観光やトレンドに詳しい有識者ということで呼ばれています。しかし、おそらくは民泊代表のような立場だと自負しています。たいした発言もできずに椅子を温めていますが、その会議では観光に関するリアルな数字が目に飛び込んできます。
飛騨高山は、今
高山市にある宿泊施設の客室数はもうすぐ5000室です。一方、比較すると、広島市では2000室未満と聞いていますので驚くような数字です。そして、民泊(民泊と簡易宿所)の数は、今年初旬には登録数230程度でした。しかし、おそらく10月で260~270、新規開業の話も多く聞こえてきているため、年末にはもっと増えていると思われます。
その中でも特に多いのは4名で2万円という宿泊単価です。
立地、設備、インテリア、オーナーの人柄、など選ばれる基準はさまざまです。そして、どの施設もとても魅力的で人気が高い。都内の民泊と大きく違うのは、マンションの一室を民泊にするタイプではなく、ほとんどが家を改装していることです。中心部の空き家という空き家はすべて民泊になっていく・・・。そのようなイメージでしょうか。
民泊に限ったことではないですが、数が増えれば、同時に淘汰されていくこととなります。

では、差別化には何が必要なのかを考えてみましょう。
差別化・・・例えば、駐車場
日本人はもちろん、インバウンドも以前には予想しなかったことがレンタカーで高山まで来るというスタイルです。これがすごい勢いで増えている。そのため、宿に駐車場があるかどうかが重要になっています。郊外の宿なら駐車場は問題ありません。しかし、送迎が無い限り、高山市街地の駐車場は、週末はどこも満車に近く状態です。そのため、せっかくの目的であろう飛騨高山の散策も思うように楽しめない場合もあります。
差別化・・・例えば、食事
飲食店が経営する民泊はこのあたりが強みになっています。この場合、宿泊客は食事難民になることなく安心して過ごせます。自由度の高い、旅館のようなスタイルでかつ<家>というのは魅力的です。
多様化する民泊ですが、最近の傾向としては富裕層向けの施設が増えていると感じています。
一泊30万円の民泊の魅力とは・・・

以前から一泊素泊まり30万円という民泊は、ニセコや白馬などにはありました。しかし、ここにきて地方の民家などを改装して開業する民泊をよく目にします。その場合、特にロケーションが良いとかではなく<立派な建築の家><物語のある家><名士の家>といった背景があります。そして、それらは決して観光地ではありません。しかし、深堀すると魅力がありそうな町にあることも共通しています。その魅力が、旅慣れた国内外の富裕層にとって新鮮なのでしょう。
私自身もコンサルタントやインテリアデザインの仕事で岐阜、京都、大阪で10軒近くお手伝いをしてきました。その中には、2名で2万円の民泊から8万、15万、そして30万円と富裕層向けの施設も多くあります。
ゲストが求めるモノ・コトに対応するためには・・・
同じ30万円の施設でも、宿泊人数が最大15名であれば、サウナや露天風呂、BBQテラス、KIDS ROOM、そして、たくさんの寝室が必要になります。しかし、4名定員であれば、建築や備品のこだわり、その美意識が問われることとなります。高額であればあるほど求められるものも多く、メールや電話の応対ひとつとってもおろそかにはできないかもしれません。
富裕層のさらなる上、言葉は安易ですが<超富裕層>はホテルのスィートよりも高級ヴィラを好むとか・・・。
そう考えると、クライアントはどのような宿を作りたいのか、どのようなゲストに滞在して欲しいのかをしっかりと見極めて、よりよい提案をしていきたいと強く感じています。
(これまでの寄稿は、こちらから) https://tms-media.jp/contributor/detail/?id=25
(すみやのHPは、こちらです) https://www.sumiya-villa.com/
寄稿者 住百合子(すみ・ゆりこ) AO STYLE インテリアデザイナー・コーディネーター
