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シニアカーで【歩く不安】を解消|3世代の旅行も可能に!

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 高齢化が進む日本では65歳以上人口の割合は29.0%、約3.4人に1人。75歳以上の人口割合は15.5%、約6.5人に1人です。2070年には日本の人口の約2.6人に1人が65歳以上、約4人に1人が75歳以上になると言われており、高齢化がさらに進むことが予想されています。

 高齢者が心身ともに元気で長生きするためには、楽しみや生きがいが必要です。配偶者・子ども・孫などの家族と過ごす時間に、楽しみを見出す人も多いでしょう。「親子3世代で旅行がしたい」と願っている人も多いのではないでしょうか?

 しかし、歩くことに不安があり「元気な子どもや孫に迷惑をかけたくない」と、3世代での旅行を諦めている人が多いのも事実でしょう。

 そこで注目したいのはシニアカー。歩くスピードと同じペースで移動可能なシニアカーがあれば、子どもや孫と一緒に旅行や大型ショッピングセンターでの買い物が楽しめます。

シニアカーとはどんな乗り物?

 高齢者でも扱いやすいよう安定した造りになっており、ハンドルで簡単に操作できる電動車椅子のような乗り物がシニアカーです。

 近距離移動に適している移動手段「パーソナルモビリティ」の1つとして注目され、近年はさまざまなシニアカーが販売されています。

 なお、シニアカーは「電動カート」や「電動車椅子」と呼ばれることもあります。

シニアカーと電動車椅子の違い

  • シニアカー:ハンドルで操作する 主に屋外移動用
  • 電動車椅子:手元のスティックで操作する シニアカーに比べコンパクト

 シニアカーと電動車椅子の大きな違いはハンドルの有無です。シニアカーは原動機付自転車のようなハンドルが付いていますが、電動車椅子にはハンドルは付いていません。

高齢者に優しい!シニアカーの特徴とは

シニアカーには、他の乗り物にはない高齢者に優しい特徴がたくさんあります。

  • 歩行者と同じ扱いになるため、自動車運転免許は必要ない
  • 車道ではなく、歩道を走行するため安全
  • 最高速度は時速6km/hと、成人の速歩きくらいのスピードのため安全
  • ガソリンは不要
  • 満充電すれば10〜30キロ程度走行できる 
  • 安定感のある造りのため運転しやすい
  • 荷物をいれられる収納スペースのある
  • 多少の雨でも利用可能
  • 多少の砂利道や坂道でも利用可能

 シニアカーは他の乗り物より高齢者が運転することを想定して作られているため、非常に安定性が高く、転倒などのリスクの少ない乗り物です。

 また、歩行者と同じスピードで歩道を走行できるため、移動の多い旅行も楽しめます。歩くことの多いテーマパークや大型ショッピングセンターも、家族と一緒に楽しめるでしょう。

 さらに、登坂能力は10°程度あり、多少の坂道も走行可能。自分の足で歩くには辛くなりがちな京都・長崎・函館など坂道の多い観光地の旅行も楽しめます。

 ただし、満充電にするためには5〜8時間程度かかるため、利用しない時間に充電することを忘れないように注意しましょう。

気になる公共交通機関での扱いは?

 旅行の行き先によっては公共交通機関を利用することもあるはず。では、シニアカーで公共交通機関は利用可能なのでしょうか?

  • 電車:ほとんどの電車で、シニアカーのまま乗車することが可能
  • 飛行機:大きさによるが、預け手荷物として目的地まで運べる
  • バス:シニアカーのまま乗車可能なバスは少ない
  • 施設:施設によって異なるが、テーマパークや大型ショッピングセンターなどはシニアカーのまま入れる施設が増えている

 電車に関してはシニアカーのまま乗車可能なことが多くなっており、新幹線も利用可能です。乗車する際は、駅員さんに声をかけスロープをだしてもらいます。車椅子専用エリアがある電車も多いです。(※)

 また、シニアカーの大きさにもよりますが、飛行機では預け手荷物として目的地まで運ぶことが可能です。

 ただし、バスに関してはまだシニアカーのまま乗車できることは少ないため、目的地が遠方の場合は電車か飛行機を利用し、現地ではレンタカーなどで移動すると良いでしょう。

 なお、大型フェリーなどもシニアカーのまま乗車可能なため、「電車とフェリーを利用して広島県の宮島に上陸、シニアカーで拝観可能な厳島神社を観光」なんてことも可能です。

※:JR東日本|車いすをご利用のお客さまへ

https://www.jreast.co.jp/equipment/equipment_1/wheelchair

旅行に便利な折りたたみ可能なシニアカーもある!

 「シニアカーが便利なのはわかったけれど、大きいから車に乗せられるか心配」そんな方には、折りたたみ可能なシニアカーがおすすめです。

画像:㈱3C

(参考:プレスリリース|歩行の不安を解消し、シニア旅行を革新!世界初、ボタンひとつで自動開閉できる、折りたたみ電動カート[Di Blasi R30]を2019年12月18日よりCAMPFIREにて限定販売開始。https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000028363.html

 折りたたみ可能なシニアカーは比較的コンパクトな設計になっているため、車のトランクに収納可能。タイヤがあるため、キャリーケースのように転がして持ち歩けます。

シニアカーをレンタルできる観光地も増えている

 高齢化に伴い、シニアカーをレンタルできる観光地は徐々に増えています。

シニアカーをレンタルできる観光地・スポット

  • ディズニーランド・ディズニーシー
  • 立山町観光協会立山観光案内所 (立山黒部アルペンルート周辺観光)
  • ハウステンボス
  • 羽田空港内
  • アドベンチャーワールド(電動車椅子)
  • 小田原城(電動車椅子)
  • ふかや花園プレミアム・アウトレット(電動車椅子)
  • イオンモール(店舗による) など

 料金は1日2,000〜3,000円程度と比較的リーズナブルに利用できます。

 ただし、数に限りがあるため、利用を希望する際はあらかじめ施設に問い合わせすることを忘れないようにしてください。

 なお、施設によっては「ハンドル形電動車椅子」「電動カート」「電動車椅子」と呼ぶ場合もあるので注意しましょう。

シニアカーのレンタルや購入はどこでできる?

 「旅行の前にまずはシニアカーを日常使いしてみたい」そんな場合は、シニアカーを取り扱っている福祉用具販売店や福祉用具レンタル店で利用可能です。

 レンタルの場合は介護保険の適用が可能です。利用可能な条件は「要介護2以上」の人ですが、要介護1や要支援の人でも日常的な歩行が困難だと認められる場合は介護保険を適用のうえ、シニアカーのレンタルが可能になります。

 介護保険を利用すれば、費用は月額2,000〜3,000円程度とリーズナブル。シニアカーが気になっている人は、まずレンタルを試してみてはいかがでしょうか?

 介護保険を利用してシニアカーのレンタルをする場合は、ケアプランにシニアカーの利用を記載してもらう必要があるため、まずは担当のケアマネージャーさんに相談してみましょう。

 なお、購入する場合は介護保険は適用されません。新品の場合は30〜40万円程度、中古の場合は10万円程度が相場で、福祉用具販売店やインターネットから購入可能です。

シニアカーがあれば【歩くことへの不安】が解消される!

 足腰に不安のある高齢者は、外出を控えてしまいがちです。しかし、外に出て陽の光を浴びるだけで気持ちは前向きになり、身体は健康になります。

 高齢化が進む日本では、今後さらにシニアカーを利用できる施設が増えることが予想されます。

 歩くことに不安のある人は、この機会にシニアカーの利用を検討してみてはいかがでしょうか? 日常生活から旅行まで行動範囲が広がり、新たな楽しみが見つかるかもしれません。


寄稿者 岡地綾子(おかじ・あやこ)㈱シニアジョブ・シニアタイムズ編集長

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