南砺市観光協会(富山県南砺市、川合声一会長)は12月6日、世界遺産〝五箇山〟で日本最古の民謡と伝統的な暮らしを体感するツアー「世界遺産五箇山に泊まる 日本最古の唄『こきりこ』プラン」の販売を始めた。守られてきた暮らしと生きる人々の心がこもった唄と踊り、五箇山の息吹を一度に体験できる特別なツアー。五箇山の新たな〝ここだけで体験できる〟高付加価値旅行商品として国内外からの誘客を図る。
郷土が誇る古代民謡「こきりこ」
五箇山は、富山県の南西端に位置する自然豊かな地域。庄川沿いに40の集落が点在し、山村風景が広がっている。ツアーの舞台となる「相倉合掌造り集落」には、20軒の合掌造りが現存する。その多くが江戸時代末期から明治時代に建てられたもの。1995年には、日本の木造文化を代表する合掌造り家屋群を中心とする貴重な農村景観や、受け継がれてきた文化が評価され、岐阜県白川郷荻町集落とともに「白川郷・五箇山の合掌造り集落」として、世界文化遺産に登録されている。
こきりこ(筑子)は、田楽の替名で、南北朝時代に奈良興福寺大乗院領坂本保(五箇山上梨)など五箇荘へ放下僧や吉野朝武士が伝え、現在の重要文化財白山宮前で毎仲秋の頃、後醍醐天皇の慰霊祭(タママツリ)を行ってこきりこは今日に伝承されたもの。江戸時代にも文献で世に紹介されたが、最近はその文化的価値が認められ広く宣伝されるとともに、小学校の教科書にも取り上げられている。楽器は鍬金や、筑子竹、編竹、簓(棒ささら)、編木子(板ささら)、鼓、横笛、銅拍子などで、往時のままのものを今に伝わり、郷土が誇る古代民謡となっている。
プランでは相倉合掌造り集落の伝統家屋を貸し切りに
同プランは、観光庁が令和6年度に取り組む「地域観光新発見事業」の一環として、南砺市と連携協定を結ぶJR東日本びゅうツーリズム&セールス(東京都墨田区、高橋敦司社長)と連携し、相倉観光組合と越中五箇山こきりこ唄保存会の協力のもと、インバウンド向けの特別な宿泊プランとして開発。ツアーは、「合掌造り宿泊&こきりこ鑑賞」をベースに、4つのプランを用意している。金沢駅発着のタクシー送迎、伝統楽器「ささら」の制作体験や、通訳案内士付きの「こきりこの里まち歩きツアー」などを組み合わせられる。
合掌造りの一棟貸し切り宿泊では、昔ながらの暮らしを体験できる特別なひとときが過ごせる。相倉合掌造り集落の伝統家屋を1棟貸し切り、囲炉裏を囲む夕食や、民謡保存会による「こきりこ」の生演奏、楽器体験などを通じて、五箇山の文化と歴史を深く感じられる。夕食では、山菜や岩魚、五箇山豆腐など伝統的な五箇山の郷土料理が楽しめる。
「祭りの時期に限らず、訪れる人がいつでも気軽に伝統芸能が楽しめる環境を提供する。2025年は、五箇山世界遺産登録30周年の節目の年となる。地域の魅力をさらに広く発信し、インバウンド誘客を強化していきたい」と南砺市観光協会。
合掌造り宿泊&こきりこ鑑賞 ~4プラン~
【A】金沢発着貸切タクシー+こきりこの里まち歩きツアー付き 大人1人 90,000~320,000円
【B】金沢発着貸切タクシー付き 大人1人 70,000~300,000円
【C】こきりこの里まち歩きツアー 大人1人 60,000~240,000円
【D】宿泊のみ 大人1人 40,000~190,000円
「こきりこプラン」の予約は、特設サイト(日本語:https://www.tabi-nanto.jp/kokiriko/、英語https://www.tabi-nanto.jp/kokiriko/en/)から申し込める。