花巻温泉(岩手県花巻市)は、花巻市の宝であり500年以上の伝統を持つ、2009年にユネスコ無形文化遺産に登録された「早池峰大償(おおつぐない)神楽」の持続的な伝承につなげる持続可能なコンテンツ造成事業として、モニターツアーを12月7日に催行する。観光庁が2024年度に推進する「地域観光新発見事業」の一環として1泊2日の行程で実施(販売主催は、JR東日本びゅうツーリズム&セールス)。人口減で存続の危機にある神楽を「通い」をキーワードに、再構築モデルの確立や公演鑑賞だけでない商品化、国内外からの誘客拡大で課題解決につなげる。
大償神楽は、岩手県花巻市大迫町内川目地区の中の大償地区に伝承する神楽のことで、大償神社の奉納神楽。大償神楽と並び、早池峰神社の奉納神楽である岳(たけ)神楽も存在し、この2つの神楽を総称したものが早池峰(はやちね)神楽と呼ばれている。
早池峰神楽は、資料や記録として現存はないが、残された伝授書などから、はじまりは南北朝時代にまでさかのぼると考えられている。また、早池峰山を霊場とする山伏によって代々舞い継がれてきたとされ、祈祷の型などを神楽の中に取り入れていることから「山伏神楽」とも呼ばれている。明治時代以降は、一般の人々が伝承するようになった。舞の中に「能」大成以前の古い民間芸能の要素を残していることから、中世芸能の香りを伝える希有な神楽として、1976年に国の重要無形民俗文化遺産、2009年にユネスコ無形文化遺産に登録されている。
モニターツアーは、大償神楽の歴史を学び、公演を見られるほか、大償神楽保存会の神楽衆から、直接神楽の指導を受けられる特別稽古に参加できる。本物の神楽にふれ、地元の方々と交流できる貴重な機会が提供される。大人1人から参加可能で、料金は1人1室が4万2800円、2人1室が3万9800円、4人1室が3万5800円。発着は東京駅で、上野駅、大宮駅でも乗下車が可能。新花巻駅集合、解散プランもある。申し込みは、JR東日本びゅうツーリズム&セールス「日本の旅、鉄道の旅」から。
