2024年11月には、フリーランスの労働環境を保護する「フリーランス新法」が制定され、今後より正社員からフリーランスへの転身や複業をはじめる人の増加が見込まれます。
また日本では、2040年に労働力が1100万人不足すると予測されており、労働力をシェアする「複業」という働き方がさらに求められると思われます。
本記事では、複業マッチングサービス「複業クラウド」を運営するAnother worksが独自で調査したデータ*をもとに、最新の複業トレンドについて解説します。
*2025年2月公開「複業/副業の実態調査」
過去2年で複業経験者の割合が1.4倍に増加
まず、副業/複業経験の有無について調査したところ、「経験あり」と回答した人は46.7%にのぼりました。2年前に実施した複業/副業の実態調査(33.6%)と比べると経験者の割合は約1.4倍に増加しました。

副業/複業経験がある方に対し、実施する目的を聞いたところ「自由に使えるお金を増やすため」が69%、「収入減を分散させ、リスクヘッジするため」33%となりました。そして「スキルアップのため」29.3%「現職ではできないことに挑戦するため」22.4%が続き、キャリアを考える上での選択肢として副業/複業を捉えている方もいました。

月収5万円以上の複業者は約半数
副業/複業経験者に対し現在得ている平均月収額を質問したところ、「1万円以上~5万円未満」が31%と最も多く、続いて「5万円以上10万円未満」が25%、「1万円未満」が23%という結果になりました。総数で見ると、月収5万円以上の複業者は全体の46%に上ることが判明し、新たな収入源として定着していることがわかりました。

複業の壁が明らかに...「適正な報酬や待遇の水準が分からない」「相談できる人がいない」
複業を始める際の課題について調査したところ、2.5人に1人が「周囲に副業について相談できる人がいない」「適正な報酬や待遇の水準が分からない」と回答しました。複業の報酬は経験やスキルによって異なるため、自分の適正な報酬が分からず、「スカウトが来ても判断できない」「値上げの交渉をしたいが提案しにくい」といった悩みを抱える人が多いことが分かりました。

2025年新たに複業を始めたい人は約3割
現在、複業をしていない人にその理由を尋ねたところ、「現職が忙しい」が49%、「自分ができる複業が何か分からない」が27.5%、「まず何から始めたら良いのか分からない」が26%という結果になりました。

一方、非副業/複業者の中でも2025年は実施したいと考えていると回答した方は約3割でした。その理由について聞いたところ「賃上げの見込みがないから」が76.2%と最も高い結果となりました。

いかがでしたでしょうか。
複業を始める人が増加している一方で、適正な報酬の判断や相談相手の不在といった課題が浮き彫りになりました。また、収入の安定やスキルアップを目的に複業を選択する人が多く、新たなキャリアの選択肢として定着しつつあることが伺えます。
2025年にはさらに多くの人が複業を始めると予想される中、環境の整備や複業を通じたキャリア設計がより一層求められるでしょう。
寄稿者 大林尚朝(おおばやし・なおとも) ㈱Another works代表取締役