IATA（国際航空運送協会）は2月26日、2024年の年次安全報告書を発表した。航空業界は引き続き高い安全性を維持し、主要指標の多くで過去5年間の平均を上回ったが、2023年の例外的な成績からはやや後退した。

　2024年の全事故率は100万便あたり1.13件（88万便に1件）で、5年間の平均値（1.25）より改善したものの、2023年の1.09を上回った。死者を伴う事故は7件発生し、全運航回数（4,060万便）の中での割合は依然として低いが、2023年の1件および5年間の平均値（5件）より増加した。

　死者は244人で、2023年の72人、5年間の平均144人を大きく上回った。

　地域別では、北米では事故率が1.20に改善（2023年は1.53）、アジア太平洋は1.04（2023年は0.92）と増加したが、5年間の平均（1.10）を下回った。アフリカの事故率は10.59（2023年は8.36）で、最も高い水準となったが、致命率は2年連続でゼロだった。欧州は1.02（2023年は0.95）と微増し、ラテンアメリカ・カリブ地域は1.77（2023年は0.73）と増加した。

　IATAのウィリー・ウォルシュ事務局長は「航空事故は極めてまれであることを忘れてはならない。長期的に見ても航空安全は着実に向上している。10年前（2011～2015年）の5年間平均では45万6,000便に1件の事故だったが、現在（2020～2024年）は81万便に1件まで改善している。すべての死亡事故は防ぐべきものであり、安全データの蓄積と分析がさらなる向上の鍵を握る」と述べた。

　IATAは、世界の約340の航空会社が加盟し、世界の航空輸送の80%以上を占めている。今後も安全性向上に向けた取り組みを強化し、各国政府や関連機関との協力を進める方針を示した。