地元を撮るカメラマンは、その場所の素晴らしさを一番熟知している。一年の中でベストの写真を見せてくれる。一方、観光客は、訪れるタイミングで、雨や嵐の日、天晴な青空を見せる日もある。そのため、なかなか一瞬を切り取った最良のものを撮ることが少ない。しかし、昨今の天気予報の精度は高くなった。その結果、旅行予約の直近化という現象を生んでいる。やはり、晴れの日は心を豊かにし、感動も高まる。
富山県高岡市の雨晴海岸は、富山湾越しに立山連峰を愛でる絶好のロケーションだ。沖合に浮かぶように見える山々は、まるで蜃気楼のように、大きな壁となって迫ってくる。そして、空気の澄んだ冬の朝には、日の出を待ちわびて、多くのカメラマンが列を成す。望遠レンズを付けて、山際に富山空港を目指す航空機を入れた写真や広角レンズで海と山もコントラストを狙うものと、人それぞれ違うイメージを持って、撮影に臨んでいる。
立山連峰撮影のベストシーズンは、ゴールデンウィークの前後だと地元の方々は言う。その理由は、標高の高い山々にも雪がまだ残る。しかし、春休みは、曇りの日が多く、くっきりと山々が見えないからだとか・・・。さすが、地元に住む人々の強みだ。
目の前に迫る大きな壁に
北陸の地は、時の政権から抜け出す逃亡の地とも言われる。そう考えると、源義経も佐々成政も逃亡の果てに、この雄大な景色に自身の夢や無念を重ねていたかもしれない。そう思わせる障壁のような立山連峰、その姿を見えただけでもうれしい限りであるが・・・。
(2017.03.25.撮影)
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取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長