エクスペディア・グループは、スポーツツーリズムの拡大が旅行の在り方を大きく変え、観光業界に新たなビジネスチャンスをもたらしているとの調査結果を公表した。
過去1年以内にスポーツイベントを目的として旅行した日本、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、メキシコ、米国、英国の旅行者2,000人を対象に分析された。
同グループによると、スポーツツーリズムはすでに世界の観光支出の1割を占め、2032年までには年間約195兆円規模に達する見通し。2026年にカナダ、メキシコ、米国で初の共同開催となるFIFAワールドカップや、イタリアとロサンゼルスで予定されるオリンピックなどの大型イベントも追い風となり、今後さらなる市場拡大が予想される。
調査では、旅行者の多くが友人(35%)、パートナー(34%)、家族(33%)とともにスポーツ旅行を楽しんでいるという。
また、スポーツファンの移動は都市内にとどまらず国境を越えて広がっている。旅行者のうち44%が国外を訪れ、とりわけ16〜34歳の若年層ではその割合が56%に上昇。カナダ(62%)、ドイツ(58%)、フランス(57%)などの国では国際的な観戦旅行への関心が高い。
スポーツイベント開催地には周辺地域にも大きな経済波及効果が見られる。1泊以上の旅行をした人の60%が開催地以外にも滞在しており、約3割は近隣の主要観光地、2割は1時間以上離れた都市、さらに2割は知名度の低い地域を訪問しているという。宿泊旅行者の81%が滞在地以外の地域にも足を延ばし、45%が近隣エリア、30%が国内別都市、21%が国外への移動を組み合わせていた。
旅行1回あたりの平均支出額は約22万5,000円を超え、チケット代に平均約4万5,000円、航空券に約6万3,000円、宿泊費に約7万1,000円を投じている。飲食やショッピングなどの追加消費も平均約5万5,000円に達しており、スポーツツーリズムが地域経済に与える影響の大きさが改めて浮かび上がった。
日本人旅行者に限ると、スポーツイベント観戦のために宿泊を伴う旅行をした場合の平均支出額は約24万1,000円にのぼる。また、今後1年以内にスポーツイベントへの参加を計画している日本人は全体の78%に達し、うち64%は2回以上の旅行を予定している。観戦対象として最も人気が高いのは野球(26%)、続いてサッカー(21%)、ゴルフ(9%)だった。
若年層の間では、女子スポーツへの関心の高まりも確認された。全体で71%が男性選手の試合観戦を目的にしていた一方、16〜34歳層では男女混合のスポーツイベントに参加する割合が24%、女性選手のイベントへの参加が12%となり、それぞれ全体平均(20%、9%)を上回った。