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たい焼きが泳いだ町、今昔物語~麻布十番・東京都港区~ニッポンを歩こう040

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東京・麻布という地域は、高級住宅地のイメージが強い。しかし、麻布十番は、渋谷からつながる古川の低地で下町の風情をたたえる。大規模なビルや商業施設は少なく、ブティックや飲食店等が入る雑居ビルや個人商店と、庶民的な住宅地が混在している。そして、1962年に周辺の10町が統合され、旧来からの十番組屋敷や十番橋など、江戸時代の名残を地名とした。また、一の橋から仙台坂にかけて商店街が続いている。2008年まで商店街西端に「麻布十番温泉」という銭湯があった。1949年開湯の温泉だ。その雰囲気が、この地域の下町感を醸成していた。

鉄道空白地帯がもたらしたもの

町の向こうに新しい街「六本木ヒルズ」が・・・
町の向こうに新しい街「六本木ヒルズ」が・・・

さて、麻布十番付近には長らく鉄道の駅がなかった。かつて、1956年に日比谷線の建設計画が発表されると、地元の商店街が廃れると建設反対運動を展開される。その結果、麻布十番は路線から外れ、六本木に日比谷線の駅が完成する。その後、網の目のように走っていた都電も廃止され「陸の孤島」とも呼ばれるようになった。一方、1984年に鳥居坂下にディスコ「マハラジャ」が開店するとタクシーなどで訪れる富裕層があふれ、バブル期の象徴となった。

2000年、地下鉄・南北線と大江戸線が相次いで開通。麻布十番駅が設置される。さらに、2003年には近隣に「六本木ヒルズ」が開業すると、麻布十番を取り巻く環境は一変した。元々、下町風情のあふれる麻布十番納涼祭りも、3日間で約50万人が訪れる国内最大規模の夏祭りとなっている。

麻布十番商店街は、今でも活気がある。昭和を彷彿する洋服屋や食堂の隣には、新たに開業したケーキ屋が共存する。また、日本で一番売れた歌謡曲である『およげ!たいやきくん』のモデルとなった浪速家総本店も人気の的。一度赴くとその良さがわかる、とても素敵な空間である。

(2018.05.05.撮影)

(これまでの特集記事は、こちらから) https://tms-media.jp/contributor/detail/?id=8

取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長

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