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櫓の中の満月~金沢駅・金沢市~ニッポンを歩こう043

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2015年、北陸新幹線は金沢に延伸した。北陸3県の代表的な観光地への開業は、首都圏からの観光客にとって、期待感の高まりを感じた。

金沢までの鉄道ルートは、かつて、上越新幹線長岡駅での乗換がメインルートと言われてきた。1997年、北越急行(ほくほく線)が開業すると、輸送能力は大幅にアップし越後湯沢駅が出入口となる。一方、東海道新幹線経由の場合、米原駅での乗換となり、いずれも約4時間を要した。そのため、首都圏からの北陸観光の主流は、小松空港を利用した航空機一辺倒であった。

この頃、関西からの観光客も団体型旅行が主流であった。そのため、鉄道よりも貸切バスを利用することが多かった。その傾向は、首都圏からの週末型の旅行にも言えることだった。それ故、北陸3県の有名温泉地には、大規模な団体型旅館が軒を並べていた。しかし、バブルの崩壊後、旅行形態は団体型から個人型へ移行する。その結果、対応が遅れた旅館ホテルは、営業譲渡や廃業を余儀なくされた。

変わらぬ魅力づくりは「食」なのかもしれない

さて、日本人は、旅先で刺身に代表される海の幸を望む。首都圏マーケットは、そのほとんどが伊豆半島に向けられていた。しかし、北陸新幹線の延伸によって、その状況が大きく変化する。太平洋側では、白身魚が提供されることはほとんどない。日本海側はその宝庫である。とあるテニスプレーヤーが「のどぐろ食べたい」と叫ぶと、日本海側への旅行が増えたとも言われる。そして、金沢には、近江町市場など、海鮮物に触れる観光地も多い。また、和菓子文化も秀逸なものが豊富だ。

2024年、北陸新幹線は、福井県敦賀市まで延伸した。その結果、関西圏から直通列車がなくなった。冬場にカニ料理を謳ったツアーが旅行会社の店頭に並び、赤い色に変わるとまで言われた地域からの観光客が減りつつある。利便性の減少は人流を変化させる。一方、金沢は終着駅でなくなり、首都圏から福井県観光が脚光を浴びている。

時代によって、好まれる観光地は変化するものだ。変わらぬ魅力づくりは、「食」なのかもしれない。しかし、常に観光コンテンツを磨き上げ、お客さまに提供することこそ、大切なことだと感じる。

(2016.08.17.撮影)

(これまでの特集記事は、こちらから) https://tms-media.jp/contributor/detail/?id=8

取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長

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