山口県美祢市は、石灰岩を豊富に含む大地を有する。秋吉台、秋芳洞のカルスト台地が全国的に有名である。そして、その西方に水不足の時に土地の長者が弁財天を勧進し、透き通った水が涌いたという「別府厳島神社」は建っている。その境内、透明度の高い弁天池は、神秘的で素晴らしい。青緑色の水の色は、誰もがため息をつくほど、時を忘れ見惚れてしまう美しさだ。

この弁天池は、これまで観光地として、さほど有名でなかった。しかし、ある時、一気に多くの観光客が訪れるようになった。「神秘的な水の色」とSNSでつぶやかれた結果である。

過去の経験より、数多くの口コミが

さて、人気の観光地は、大都市から2時間100kmのエリアが選ばれる。かつて、旅行会社各社が競って、そのエリアの旅行商品を造成していた。しかし、昨今、訪日外国人が増えたことによって、新たな観光地が生まれている。彼らは、平気で500～1,000kmを日帰りで旅をするのだ。遠方への旅行は、時間との勝負である。そのため、詳細な下調べを行ない、SNSの口コミを活用している。

これまで、日本の旅行会社は、キャンペーンと称して、恣意的に旅行先を作り上げてきた。一方、SNSによる旅行喚起は、観光客の生の声である。そのため、全国的な観光地でなくとも、良質のコンテンツは、爆発的な人気を勝ち得るのだ。

まだまだ知られていない日本の魅力、もっと深堀せねばならないと思いつつ、このことが、新たな仕掛けのヒントになりそうだと感じる今日この頃である。

（2020.10.20.撮影）

（これまでの特集記事は、こちらから）　https://tms-media.jp/contributor/detail/?id=8

取材・撮影　中村　修（なかむら・おさむ）　㈱ツーリンクス　取締役事業本部長