ドイツ観光局が5月22日、都内で開催したプレス発表会で、ドイツ観光局アジア地区統括局長の西山晃氏は2024年の日本人宿泊数が19年比41%減、23年比12%増で推移したことを報告した。今年1月から3月は前年比4.7%増の14万6118泊を記録しているという。西山氏は円安などの外的要因の影響はあるとしながらも「前年を下回る停滞気味にはなっておらず、ゆっくりではあるが回復してきている」と話した。2025年は19年比30%減、24年比20%増を見込む。
ただし、西山氏は円安などに加え、日独間の座席供給量の減少というマイナス要因があると指摘。航空会社の機材導入の遅れや乗員不足などの問題があることから2019年比で直行便数が25.5%減、座席供給量が26.6%減となってるとし、「需要がないわけではないが手札がそろっていない」と課題を説明した。
25年のプロモーションとしては、昨年と同様にリピーターや高所得者層をターゲットに旅行会社経由での需要喚起策を実施する方針だ。3月から8月までウェビナーを月に1回実施するほか、11月5日・6日に東京、7日に大阪で「ドイツ旅行展」と題した旅行会社向けの商談会をおこなう。
一方、西山氏は上期のドイツ旅行のパッケージツアーの平均価格が82万6579円と高騰していることを説明し「ドイツは中間層にとってほぼ非現実的」とコメント。このため中間層や旅行頻度の低い層については、オンラインメディアやSNSを活用した中期的な需要喚起のためのインスピレーションキャンペーンを引き続きおこなうとした。
25年のキャンペーンの内容については、グローバルで設定したテーマのうち、日本人に訴求力の高い「 Cultureland Germany」とクリスマスをアピールする「Seasons' Greeting」に注力していく。Cultureland Germanyについては5月末からVeltraでロマンチック街道などをパートナーにした予約促進キャンペーンを実施。5月4日から9月21日まで運航中の、フランクフルト-ローテンブルク間の日帰りツアーバスをPRする。
また、6月2日からは4travel.jpでゲーテ街道をパートナーにキャンペーンを実施。サイト上でブロガーがコンテンツを発信し、ドイツ観光局などのSNSで拡散するほか、オープンデータを活用したウィジェットも用意する。
このほか、イヤーテーマとして「メルヘン街道開設50周年」「J.S.バッハ没275周年」をアピールする。特に「メルヘン街道開設50周年」を訴求したい考えで、ブレーメンやハーメルン、「ラプンツェル」ゆかりの地として知られる古城ホテル「トレンデルブルク城」等を訴求する。加えて観光局のサイトで「Grimm’s Quest」と題したオンラインゲームも展開する。
ルフトハンザ、冬から羽田/ミュンヘン線に「アレグリス」、中部線再開に意欲

セミナーではドイツ観光局のグローバルパートナーであるルフトハンザ・ドイツ航空(LH)の日本支社マーケティングマネージャーの澤田亜紀子氏がプレゼンテーションを実施。2024年5月から導入した新仕様の座席「アレグリス」について、冬スケジュールから羽田/ミュンヘン線に導入することを説明した。
アレグリスはA350-900型機に搭載されており、座席はファーストクラス4席、ビジネスクラス38席、プレミアムエコノミークラス24席、エコノミークラス201席の計267席。冬スケジュール時点ではA350-900型機10機に搭載されているほか、B787-9型機やB747-8型機に順次導入していく計画がある。
アレグリスはファーストクラスとビジネスクラスが個室タイプで、ファーストクラスは窓際の「スイート」と最大2名まで利用できる「スイートプラス」を導入。ビジネスクラスは5席の座席タイプがあり、例えば最前列の「スイート」はドアが付属。「エクストラロングベッド」は2.2mのロングベッドになる。このほか、プレミアムエコノミークラスやエコノミークラスについても快適性を高める工夫がなされている。
また、澤田氏は運休中の中部/フランクフルト線についても説明。航続距離の関係から新機材を待っているところだが「機材の納入が遅れているため再開も遅れており、2025年冬スケジュールでの再開は難しいかというところ」と現状を話しつつも、「再開する前提で動いている」ことを強調した。
情報提供:トラベルビジョン(https://www.travelvision.jp/news/detail/news-116730)