【New!トップページ新着コメント欄追加】 学び・つながる観光産業メディア

ドームにて「石」がつぶやく展覧会~東京駅丸の内駅舎・東京都千代田区~ニッポンを歩こう079

コメント

東京駅丸の内駅舎は、辰野金吾によって建築された。それは、あらゆる場所に「石」を施したシンメトリー構造である。そして、その代表例がドームの天井に使われた大理石だ。一部には化石が埋まっているところもある。

一方、レンガ造りの屋根には、黒い石材が使われている。宮城県石巻市から運んできた雄勝石というものだ。この石は、海底にたまった泥が固まった粘板岩。駅舎復元のために使われる予定だった。

しかし、2011年の東日本大震災で、石巻は大津波に襲われた。その結果、用意した石は流されてしまった。地元の人々は、どうしてもこの石を使ってもらいたく、周辺を探し続けた。やっとのことで石を発見、洗浄して出荷したものである。まさしく、東北復興の象徴的な石屋根である。

ほかにも、白壁の石材は、岡山県笠岡市の北木石。窓枠などは、茨城県笠間市の稲田石が使われている。全国各地からのさまざまな石が東京駅の駅舎を作り上げているのだ。

駅は、歴史を語る観光コンテンツ

そして、これらの石は、東京駅の歴史を刻む生き証人でもある。1921年に原敬、1930年に浜口雄幸と、二人の宰相が狙撃された。その場所には、石の上にマーキングがされている。いずこの駅も、そこに生きた人々や時代背景を映し出す。特に、東京駅は、何度となく大きなうねりを経験してきた。そう考えると、学ぶことが豊富な「石」がつぶやく展覧会場だ。

(2020.12.22.撮影)

(これまでの特集記事は、こちらから) https://tms-media.jp/contributor/detail/?id=8

取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長

/
/

会員登録をして記事にコメントをしてみましょう

おすすめ記事

/
/
/
/