北海道の中央、層雲峡は大自然を目の当たりにする。石狩川が作り出した峡谷は雄大だ。また、大雪山系への登山基地でもあり、北海道を代表する温泉街でもある。
冬になると、広大な河畔を活用して幻想的な雪の世界を創り出す。層雲峡氷瀑祭りだ。その大きさは10,000万㎡。1976年から開催され、層雲峡観光協会が主催する。もうすぐ半世紀というロングランのイベントだ。高さ15mほどの氷の建造物の数々が立ち並ぶ姿は、寒さを忘れるほどの見事さである。
雪国は、冬場の観光客誘致が難しいと言われてきた。しかし、知恵を絞り新しいものを創造してきた歴史がある。特に、札幌雪祭りは誘客の成功事例だ。また、昨今は体感型のコンテンツが人気を博している。例えば、オホーツク海の流氷観測船や雪合戦などのスポーツイベントが集客を高めている。すなわち、寒さを逆手にとって、一流の観光コンテンツに育て上げているのだ。
訪日外国人の増加、副産物の誕生
一方、雪を見たことの無い外国人にとっても、スキーや雪を活用したコンテンツが人気の的となっている。特に南アジア圏からの訪日客は、この氷瀑祭りと札幌雪祭りをセットにして、北海道にやって来る。1月下旬から3月末までロングランで実施され、海外からもツアー造成の利便性が高いと評価されている。
さて、氷点下の夜は、ズボンを重ね着しても我慢できない寒さである。そのため、防寒着を持たない訪日客は、ファストウエアの店舗でダウンコートなどの冬着を購入するという。インバウンドの経済効果は消費行動にあると言われる。このような予想外の副産物も生まれているのだ。真冬の観光、成功すれば、大きな成果が生み出される。
(2014.02.15.撮影)
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取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長