安芸の宮島は、京都府天橋立、宮城県松島ととともに日本三景の一つ。広島県の瀬戸内海に浮かぶ島である。そして、その中心は平清盛が信仰を深め海中鳥居が有名な厳島神社だ。また、ライトアップした鳥居が神々しく光を放ち、その魅力を際立たせている。
さて、厳島神社は、広島平和記念公園と共に1996年、世界遺産に登録された。鳳凰が羽を広げた朱色の神社周辺は、観光客でにぎわいを見せる。しかし、島の最高峰・弥山は、そこまで足を延ばす日本人は少ない。伊藤博文に「日本三景の一の真価は弥山山頂からの眺望に有り」と言わしめた景観。まさしく、瀬戸内海の優雅な風景を目の当たりにする場所だ。最近は、SNSなどで情報発信され、訪日外国人が数多く登頂する姿を見かける。
一方、島内には数多くの宿泊施設が建ち並ぶ。そして、最盛期には、そのほとんどに修学旅行の児童生徒たちが宿泊する。到着後、班別行動をしながら神社に参拝する姿も見る。対岸の宮島口から入島するには連絡船で約10分。その区間には、JR西日本と松大汽船が競い合って運航している。双方が共存できることこそ、宮島が広島県を代表する観光地であり、宿泊地であることを示している。
黄昏時から夜にかけて、泊まらねば体験できない素晴らしいライトアップの景観に触れる。ナイトタイムエコノミーを実践する事例として、頼もしい限りだ。
(2006.08.17.撮影)
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取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長