長野県上高地は、国内でも稀有な観光地。環境負荷をかけないために一般車両を排除してその自然を守っている。また、登山客もここから山々に登っていく基地でもある。そのため、誰もが一度訪れたい観光地のひとつに数えられている。
山の春は遅く、ゴールデンウィークの最中、ホルンの音色が響き渡ると上高地の開山式が開催される。そして、山を目指す人々や一般のお客さまの短いシーズンが始まる。
上高地とは、北アルプス・梓川流域の大正池から横尾までの約10キロの堆積平野を指す。狭義では観光スポットである河童橋周辺を呼ぶ場合もある。そして、その端緒は1896年にウォルター・ウェストンが紹介し、観光地としての開発が始まった。1975年から夏場のマイカー規制が開始された。
さて、人気の観光地は交通至便な場所に展開される。しかし、上高地はマイカー規制によって、この場所を崇高なものに育て上げた。北アルプスを目指す登山家たちの拠点であると共に日本有数の観光地として、憧れの場所になっているのだ。
早朝散歩に出向くと、「汚さず」「ゴミを出さず」という厳格なルールを守る観光地だとわかる。これからも数多くのお客さまを受け入れ、後世に残しておきたい大切な場所である。
(2010.04.27.撮影)
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取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長