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選ばれ続けるホテルの魅力づくり ~労使一体となりホテル業界の価値共創を目指す~

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 連載第1回目では、社会背景と経済構造からホテル業及び観光業の重要性と、そこで働く人たちの離職率の高さと実情、そして人財育成の必要性を指摘した。今回はホテル業の特性からひも解く労使両面からの人財育成の考え方について触れたい。ホテル業の特性とは「人が生み出す付加価値が、その企業の競争優位の源泉であり主要利益となる」ビジネスモデルである。

人財への投資とキャリアデザインの明確化

 まずは企業側の視点である。生産年齢人口の減少による人手不足という現在の状態は、もはや企業に与えられた外部環境である。つまり経営環境であり、企業は中長期的な視点で現状と未来を分析し、状況と目標に応じて対策を講じる必要がある。企業はあらゆる競争環境下のうち、人材の獲得に対しても広範かつ複雑な競争に晒されていると言えよう。そのような環境下では、顧客のみならず働く人たちからも選ばれるホテルや企業になるため、経営者は働く人を労働力ではなく成長する資本(財産)、つまり人財として捉え、積極的に投資を実行する姿勢が求められる。また、当然その原資を獲得するためには、自らの才覚により高い生産性と収益性を実現することが求められる(※中小ホテルの競争戦略については連載4回目以降に言及する)。それにより得た利益を適切に分配し賃金に反映させ、さらに人財育成計画を可視化する。すなわちキャリアデザインをより明確にしていく必要がある。

働き手のマインドとして持つべき組織貢献と自己成長

 一方、企業側が上記のように内部環境の整備を進めると同時に、働き手としてはどのようなマインドで従事すべきであろうか。まずはホテル業の特性を十分に理解し、自らが何をもって所属企業へ貢献ができるかを分析ならびに把握をする必要がある。また、価値観や選択肢が多様化している現代において、働くことを通じて成しえるものをより具体性と計画性をもって設定すること。つまり自立したビジネスパーソンとして、自らの強みと目指すものを明確にしていく必要がある。そして最重要な心構えとして、企業がなにを与えてくれるかではなく、自らが企業に対してどのような貢献ができるかを考えることである。すなわち組織貢献と自己成長の高い次元での融合を目的と捉えるマインドである。

 さて、ここまでを要約する。ホテル業の特性とは人が生み出す付加価値が最大の武器であり、現在は業種を問わず人財獲得の競争下にある。企業はそれを経営環境として受け止め対策し、中長期に人財を真剣に育成(投資)する体制を整える。働き手は所属企業の将来性を見極め、自らの才覚を十分に発揮(そして開発)でき、組織貢献と自己成長を両立できる道を歩む覚悟を持つ。

 次回はそれらを前提とし、特に働き手のキャリア開発や自己啓発について具体的手法に言及したい。

(連載3回目につづく)

寄稿者 北原信輔(きたはら・しんすけ)㈱更紗ホテルズ取締役統括本部長/(一社)全日本ホテル連盟理事(近畿支部長兼会員増強委員長)

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