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梅雨の最中を彩る下町のおすすめ夏まつり~編集部が独断と偏見で選ぶ三大あるあるシリーズ~第7回

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2014年、浅草神社が提唱し始まった「夏詣(なつもうで)」。本年で12年目を迎える。東京から全国各地の神社仏閣に広がり、現在598社寺(神社568社、仏閣30寺)が参画する大きなうねりとなっている。

夏詣の発祥、浅草神社
夏詣の発祥、浅草神社

日本人は、大晦日に「年越しの大祓」で一年の罪や穢れを祓い清める。そして、新たな年を迎えるという風習を行なってきた。そして、新しい年の平穏を願い「初詣」に出向く。

それから6か月、一年の半分を無事に過ごさせていただいた感謝と残りの半年の平穏を願う新たな習慣として「夏詣」は誕生した。

参画する神社仏閣には、「茅の輪(ちのわ)」が建てられ、8の字を横にした形で巡り参拝する。この形が無限大だという方もいる。宗教離れと言われる昨今だが、新たな風習を共に育む取り組みは、とても素晴らしい。

例年、この時期は梅雨時ゆえ、外に出向くのがうっとうしい季節である。しかし、浅草神社に赴くと、早朝から数多くの参拝客が「夏詣」に訪れていた。やはり、日本人は信心深い。

それでは、編集部お勧めの下町三大夏まつりをご紹介していこう。

梅雨を忘れる「下町七夕まつり」・・・合羽橋本通り

合羽橋本通り「下町七夕まつり」梅雨空が悩ましい
合羽橋本通り「下町七夕まつり」
梅雨空が悩ましい

上野と浅草を東西に結ぶ合羽橋本通りは、真正面に東京スカイツリーが見える絶好のロケーションだ。昭和通りから国際通りまでの間には、台所用品問屋が集まる合羽橋商店街もあり、夏詣の浅草神社を後にして、散策に訪れる人も多い。特に国際通りから合羽橋交差点までは、電柱の地中化が完成し空が広い。

普段は歩行者天国でない通りには、七夕飾りが施され、祭りの会期中は、数えきれないほどの屋台も営業する。地元の方々に交わって、最近は訪日外国人もやって来る。昼夜ともに酔客も絶えない祭りである。

毎年、七夕の日を囲む土・日をメインとして開催される。

(2025年は4日から8日)

夏の朝を彩る「入谷朝顔まつり」・・・入谷鬼子母神

朝顔市、言問通りも歩行者天国に
朝顔市、言問通りも歩行者天国に

そのまま足を上野から入谷に向けてみる。すると、首都高速が合流する入谷交差点から鶯谷駅下の言問通りは、朝顔の花々が咲き乱れる。ここは、入谷鬼子母神(真源寺)の境内である。

朝顔市は、江戸時代後期に朝顔栽培農家が自慢の品を披露したことが始まりと言われている。入谷は、上野山の麓で落ち葉などが堆積して肥えた土だった。そのため、朝顔の栽培に適していた。

また、江戸郊外に位置し、朝顔を買いに来ることが当時のレジャーだった。明治期には最盛期を迎えるが、現在、朝顔農家はすべて廃業している。

戦後1948年に復活。12万鉢の朝顔が販売されるが、その7割は江戸川区から運ばれてくると言う。

毎年、七夕の前後、7月6日から8日まで開催される。

四万六千日の縁日「ほおずき市」・・・浅草寺

平安時代より観音様の縁日は、毎月18日と定まっていた。しかし、室町時代末期になると「功徳日」という縁日が誕生する。これは、この日に参拝すると百日、千日分の徳が得られるというもの。現在、浅草寺では年12回の功徳日を設けている。

ほおずき市、風鈴の音が涼やかに
ほおずき市、風鈴の音が涼やかに

その中でも、7月10日は一年の内で最高の功徳日である。46,000日分の功徳があると言われ、「四万六千日」と呼ばれる。その由来は、米一升が46,000粒とか、日数が126年に相当し人の寿命の限界になるとか。

そして、功徳日は江戸時代に定着する。一方、明和年間(1764~72年)には、各地でほおずき市が立つようになる。その理由は、ほおずきの実が病気を払うとの民間信仰である。そのため、夏詣とともに、七夕をはさみ浅草もにぎわいを見せる。

今でも、ほおずき市は、7月9日から10日の日程で開催される。

猛暑を忘れて、下町に触れる非日常

さて、七夕前後は、このように上野から浅草までの夏祭りが最盛期となる。特にこの週末は、七夕の二つのおまつりが行われる。双方ともハシゴできる距離だ。真夏のような暑さがやって来るが、下町情緒に触れる体験、是非、お勧めしたい非日常の姿である。

入谷から浅草までの周辺地図
入谷から浅草までの周辺地図(Google Mapより転載)

(これまでの特集記事は、こちらから) https://tms-media.jp/contributor/detail/?id=8

取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長

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