コロナ禍が第5類になり、海外からのお客様(インバウンド)が急激に目立つようになりました。特に、私の居住地である大阪では、心斎橋や梅田ですれ違う人の半数がインバウンドではないかと思うくらいです。最近、マスコミからは東京や京都、大阪においてお客様が増えすぎて住民の生活に支障をきたしているのではないか、つまり、オーバーツーリズムではないかといった意見を聞きます。
しかしながら、インバウンドの影響は本当に住民の生活にまで支障をきたしているでしょうか? 私は決してそうとは思いません。大阪では、梅田や心斎橋、千日前といった名所には訪日外国人客が大勢いらっしゃいますが、それでも活気を帯びており、さまざまなものが売れてます。
京都も一時期は、地元民がバスに乗れないなどの苦情がありました。そして、現在もその状況があるとマスコミは報道しますが、それはインバウンドの問題でしょうか。政府は、インバウンドの年間目標として3,000万人を掲げていますが、コロナ禍前には2030年に6000万人を掲げており、もっと増えることを望んでます。
官民一体でオーバーツーリズムの解消を
訪日外国人客がまず日本で訪れる場所は、東京から京都・大阪間のゴールデンルートであり、今後もゴールデンルートは活況を呈するでしょう。私たちがフランスに行くのに、まずはパリに行くことと同じです。イタリアでは、ローマやベネチアであり、それと同様です。そう考えると、原因は急激な観光客の増加への対応が遅れている行政にあります。何故かマスコミはその指摘はしません。いかにも、来た方が悪いような表現になっているような気がします。
これからインバウンドの波は、北海道や九州へと足を延ばします。リピーターとなる訪日外国人客は間違いなく次を目指します。信州や四国など、日本全国にも足を伸ばし、自然一杯の美しい日本を堪能するはずです。
その時に、対応が遅れた地域は、大いなる反省をするか、選ばれなかったことから湧き立つ不満を述べるのではないでしょうか。街づくりは、官民一体でなければ絶対に成功しません。今からでも対策は決して遅くはなく、まずは不満やできないことを語らず、できる理由から話し合ってみてはいかがでしょうか。インバウンド対策の先には、若者が未来を見据えられる持続可能な地域が見えてくるはずです。
寄稿者 松瀬裕二(まつせ・ゆうじ)キューカン代表理事