ホテル・旅館の宿泊予約サービス「Relux(リラックス)」を運営するLoco Partners(東京都港区)は12月8日、訪日旅行に強みを持つHANATOUR JAPAN(東京都港区)と在庫連携を開始した。同社が運営する旅行流通プラットフォーム「Gorilla」を通じたグローバル販売に乗り出す。急伸する韓国をはじめとするアジア市場へのアクセスを強化し、掲載宿泊施設の海外送客力向上を図る。
背景には、訪日外国人旅行の回復がある。日本政府観光局(JNTO)が公表した2025年10月の推計値によれば、韓国からの訪日客数は過去最多の約86万7,200人(前年同月比18.4%増)を記録。1~10月累計でも約766万800人(6.4%増)に達し、航空座席の増便や新規路線の開設も追い風となって需要は順調に拡大している。
Loco Partnersはこれまでも海外OTAと連携し、訪日旅行者向けの販売機会を広げてきた。今回のHANATOUR JAPANとの提携は、その取り組みをさらに深化させるものだ。同社がBtoBホールセラーとして構築する広域の再販ネットワークを活用することで、Relux掲載施設はこれまで接点の少なかった旅行会社や海外OTAとの新たな流通チャネルを開拓できる。特に家族旅行や団体旅行といった送客力の高いセグメントへのアプローチ強化が期待される。
HANATOUR JAPANは、韓国最大手の旅行会社「HANATOUR」の日本法人としてインバウンド事業を主軸に展開。宿泊、観光、交通をはじめ地方自治体との連携まで幅広く手がける総合旅行会社であり、自社のバス事業・ホテル事業を含めたワンストップ体制が特徴だ。BtoB向けの旅行商材販売サイト「Gorilla」は、提携OTAとの接続拡大により多層的な販売網を構築しており、今回の連携はそのネットワークの強化にもつながる。
一方のReluxは、独自の審査基準で選定した宿泊施設を掲載するプレミアム型予約サービスとして知られる。KDDIグループとの連携によるパーソナライズサービスの拡充、ダイナミックパッケージの提供、世界のサプライヤーと接続できる「Relux Hotel GDS」など、国内外の旅行者との接点を広げてきた。今回の協業により、宿泊施設が海外市場で選ばれる機会を増やし、客室稼働率の向上や地域観光の活性化にも寄与する構えだ。
Loco Partnersは「海外パートナーとの協業を一層進め、訪日需要の拡大と日本各地の魅力発信に貢献したい」と話す。