
愛媛県今治市の今治港で定期開催されている「せとうちみなとマルシェ」が、国土交通省の令和7年度「地域づくり表彰」で最高位の国土交通大臣賞を受賞した。港湾空間を活用した交流拠点づくりと、官民連携による持続可能な運営態勢などが高く評価され、全国32事例の中から総合的に最も優れた3事例の1つに選ばれた。
国交省は11月20日に審査結果を発表し、12月22日に東京・霞が関で表彰式を行った。
せとうちしまなみマルシェは、瀬戸内海としまなみ海道を望む今治港で、毎月第2・4日曜日の月2回、ご当地グルメや地物魚の競り市、スイーツやクラフト雑貨など多彩な店舗が出店するイベント。
1999年の瀬戸内しまなみ海道開通以降、航路利用者の減少とともににぎわいを失っていた今治港を、「交通の港」から「交流の港」へと再定義し、2022年11月にスタート。3年が経過した現在、年間(24年11月~25年10月)来場者数は約24万4000人。来場者の消費支出や出店者の売り上げ、主催者事業費などによる経済波及効果は約13億5400万円と試算され、前年から約1億3200万円増加しているという。登録店舗数は700を超え、毎回100店舗前後が出店、1開催あたり1万人以上が訪れる集客力を誇る。
通常は午前9時から午後2時までの開催だが、夏場は土曜日の午後4時から9時の夜間営業として開催。夜の時間帯はアルコールを提供する出店者が多く、大人の雰囲気が漂う空間に様変わりするという。港に隣接する商店街の「土曜夜市」とも連動し、海辺から商店街一帯の回遊性向上にも寄与している。
今回の受賞では、①港湾空間の再定義による新たな価値創出②多種多様な出店者によるリピーター創出型の運営方法③市民ボランティアや学生、商工団体が参画する官民連携態勢――が主な評価ポイントとなった。
せとうちマルシェ実行委員会の原竜也運営委員長は「港が『交通の港』から『交流の港』へ生まれ変わり、そのにぎわいが日常へと広がることを目指したい」と話している。

情報提供 旅行新聞新社(https://www.ryoko-net.co.jp/)