伊勢志摩観光コンベンション機構はこのほど、高付加価値なインバウンド誘致と持続可能な観光地づくりを目的とした「iseshima connect プロジェクト」の進捗を発表した。今年度は延べ224人が参画。同プロジェクトでは、地域事業者や異業種プレイヤーを巻き込んだ共創型の取り組みを展開している。
同プロジェクトは、伊勢志摩の歴史・自然・文化・人々の営みを一貫したストーリーとして再編集し、訪日客が地域の価値を深く体験できる仕組みづくりを目指すもの。観光振興にとどまらず、地域事業者の連携や人材交流、情報発信強化などを通じて、持続的な地域経済循環の創出を図っている。
中心的な取り組みの一つが、地域プレイヤーの育成・発掘を目的とした共創ワークショップ「脳動ゼミナール」だ。伊勢志摩、名古屋、東京の3拠点で開催され、真珠加工やガイド業など地元事業者に加え、IT、メディア、建築、イベント運営など多様な分野から参加があった。1月には合同成果発表会も実施され、参加者による地域連携アクションの発表や、伊勢志摩のまちづくりを学ぶ視察ツアーが行われた。
インバウンド誘致の面でも成果が見られる。国外からの視察ツアー受入数はコロナ禍の2022年と比較して約3.6倍に増加。米国やシンガポールでのラグジュアリー層向けイベントやネットワーキング施策を通じ、伊勢志摩ブランドの海外発信を強化してきたことが奏功した形だ。訪日外国人の一人当たり消費額も前年から約4割増加するなど、高付加価値旅行者の取り込みが地域経済に波及している。
一方で、オーバーツーリズムの回避と地域住民との共存も重視する。同機構では、インバウンド比率を10%程度まで引き上げつつ、15%以内に抑える目標を掲げ、持続可能な受入体制整備を進める。全国で初めて観光地域づくり法人(DMO)主体でインバウンド向けタクシーサービス基準を策定するほか、多言語対応や異文化理解を含むガイド育成研修も継続的に実施している。
さらに、伊勢志摩の自然環境や文化、食、体験を網羅したインバウンド向け公式ブランドブックを新たに発行。地域の魅力を体系的に伝えるツールとして活用を進める。
同プロジェクトは、観光を軸にしながらも「地域経済」「人材育成」「事業者連携」を包括的に支えるモデルケースとして位置付けられており、今後の地域観光経営の新たな指針となる取り組みとして注目される。