JTBは、レクサスとJTBの対談セッションをメインとしたサロン形式イベント第7回「JTB Engagement Salon」で、富裕層マーケットが拡大する中、どのように顧客の心を掴み、長期的な関係性を築いていくのかを探った。
対談ではまず、両社が捉える富裕層像と市場の変化について議論が行われた。JTBは純金融資産1億円以上を主な対象とし、国内の富裕層・超富裕層は増加傾向にある一方、世帯全体に占める割合は3%弱にとどまるため、接点づくりが課題だと指摘した。
レクサス側も準富裕層を含めた幅広い層をターゲットとしつつ、若年富裕層の獲得が共通の課題との認識を示した。
両社は、近年台頭する「ニューリッチ」と呼ばれる層の価値観の変化にも言及した。従来の富裕層が同質的なコミュニティや格式を重視する傾向にあるのに対し、新興層は体験内容を重視し、移動手段や形式にはこだわらないケースも増えているという。
JTBはこうした変化に対応するため、海外不動産投資セミナーなどを通じた接点づくりや、暗号資産決済などデジタル領域への対応を進めていると説明した。
JTBは、富裕層向け旅行ブランド「夢の休日」やオーダーメイド旅行を展開し、国内旅行で平均約60万円、海外旅行では約300万円規模の旅行商品を提供。価値観を満たす体験であれば顧客は価格を重視しないとした。
具体例として、南仏の邸宅を貸し切った結婚式旅行や島の貸し切り滞在など、顧客の要望に応じた高額旅行を実施してきたと説明。また金融機関との共創では、最上位顧客限定のザルツブルク音楽祭ツアーを企画し、限定性が顧客の行動を変える事例も紹介された。
体験価値の創出を巡っては、具体的な事例も共有された。JTBはレクサスとの共同企画として、四国周遊ツアーに試乗体験を組み込み、少人数ラグジュアリーバスによる移動を演出。移動そのものを特別な体験に変える取り組みとして評価されたという。
レクサス側は、電気自動車オーナー向け専用プログラムを通じ、充電時間をカフェ利用やコミュニティ形成の機会に変える取り組みを紹介。充電を待つ時間を快適な滞在体験へ転換し、移動手段を単なる機能ではなく、心地よい時間や空間として提供することでブランド価値を高める考えを示した。
両社は、富裕層ビジネスでは商品販売よりも長期的な関係構築が重要との認識で一致。デジタル化が進む中でも最終的に顧客の意思決定を左右するのは人との関係性であり、共創パートナーと価値観を共有しながら体験を設計することが鍵になるとした。
JTBは今後、旅行商品にとどまらず健康やライフスタイル領域にも踏み込み、顧客の人生に寄り添う存在を目指す考えを示した。レクサスも、車両性能だけでなくサービス体験を通じてライフスタイルブランドへの進化を図る方針を示した。