東京観光財団は3月4日、リクルートの観光調査機関「じゃらんリサーチセンター」と共同で、都市観光におけるオーバーツーリズムへの対応をテーマとした研究「観光と暮らしの好循環をつくる、オーバーツーリズムへの備え方」を発表した。
渋谷区、新宿区、港区を対象に、観光客と地域住民の生活が交錯する都市ならではの課題を整理し、混雑の実態や緩和の方向性を分析した。
研究では、都市部のオーバーツーリズムは観光客の数そのものよりも、観光客と住民の日常行動が同じ空間で重なることで発生するケースが多いと指摘。特定の時間帯や場所に人が集中することで、通行や生活環境に影響が生じる構造が見えてきたという。
事例として取り上げた渋谷区では、センター街周辺で路上飲酒やポイ捨てなどのマナー問題が課題となってきた。区は繁華街の路上飲酒を禁止するなどの対策を進めているが、規制が強まると人の流れが周辺へ移動する傾向も見られる。明治通り周辺などでは中心街から流入する人の増加も確認され、対策が特定地点だけでなく周辺地域にも影響する可能性があると分析した。
新宿区では新大久保エリアの大久保通りを調査。韓国料理店やコスメ店が集まる人気エリアで、週末には駅周辺から大久保通りの歩道に人が集中する。食べ歩きや写真撮影、店舗の待ち行列などにより歩道に滞留が生じ、地域住民の日常の通行と観光客の行動が重なることで混雑が顕在化している。
港区では東京タワー周辺のフォトスポット化が取り上げられた。赤羽橋交差点付近など、タワーを背景に写真を撮影できる場所に観光客が集まり、撮影や順番待ちで立ち止まる人が増えることで歩道の通行環境に影響が出るケースが確認された。SNSで拡散された写真スポットに人が集中する典型例とされる。
研究では、こうした都市観光の課題は「マナー」「混雑」「一部滞留」の3つのタイプに整理できると分析。問題の発生を抑えるためには、来訪者の行動や時間帯、場所ごとの状況を継続的に把握し、対策と検証を繰り返すマネジメントが重要とした。
また、対策は単に観光客を制限するのではなく、回遊の分散や情報発信、現地の誘導などを組み合わせることで、観光と地域生活が共存する環境を整えることが重要と指摘。観光客の動きと地域の暮らしを一体で捉え、地域の適応力を高めていくことが、都市型オーバーツーリズムの緩和につながるとしている。
調査全文はウェブサイトから読める。