国土交通省は3月17日、OECD開発センターおよび世界銀行と連携し、福島県大熊町において「質の高いインフラ優良事例集2026」の公開イベントを開催した。復興の国際モデルとして、大熊町の取り組みを世界に向けて発信した。
同事例集では、日本を含む7カ国の復興事例を分析し、「より良い復興(Build Back Better)」の実践に向けた考え方を整理。災害後の単なる復旧にとどまらず、将来リスクを見据えた持続可能な社会づくりを重視する。
「元に戻す」から「新しいまちづくり」へ
基調講演に登壇した大熊町の吉田淳町長は、原発事故による長期避難を経た現状に触れ、「元に戻すのではなく、新しいまちづくりに挑戦する」との方針を強調。産業拠点や教育施設の整備を進める中で、復興を契機に新たな人材や挑戦が集まりつつある一方、依然として多くの課題が残ることにも言及し、「復興には長い時間が必要」との認識を示した。
復興の鍵は「人中心」と「インフラ再構築」
事例集では、復興を成功に導く要素として
①将来を見据えた計画
②防災の組込み
③資金・パートナーシップの活用
④タイムマネジメント
⑤人を中心とした復興
の5つの原則を提示した。
円卓会議では、専門家から「人材育成やコミュニティ形成が不可欠」「交通ネットワークの再構築が地域再生の基盤になる」といった意見が示され、大熊町の取り組みが国際的な復興モデルとして評価された。
「復興×人材×交通」が世界モデルに
現地視察では、人材・産業育成拠点「大熊インキュベーションセンター」や、教育施設「学び舎ゆめの森」を訪問。大熊町では、人を中心とした復興と交通インフラ整備を組み合わせることで、住民帰還と地域活力の再生を進めており、こうした取り組みが「世界に誇る復興モデル」と位置付けられている。
観光・地域再生への波及も期待
復興の取り組みは、防災・インフラ政策にとどまらず、地域の魅力創出や交流人口の拡大にもつながる。国際機関との連携を通じて発信された大熊町の事例は、観光や地域づくりの分野においても、持続可能な地域再生モデルとしての展開が期待される。