熊本県天草市は、宮地岳町の「道の駅 宮地岳かかしの里」を拠点に、地域資源の価値向上と情報発信の強化に取り組んでいる。その中核を担うのが、2024年11月1日に着任した地域おこし協力隊員・川野弘志氏で、“食”の専門性を活かした商品開発や販路整備を推進している。
同施設は、廃校となった旧宮地岳小学校を再活用した地域拠点で、産直野菜や加工品、土産品を取り扱う“地域の玄関口”として機能している。市は、同施設の集客力向上と地域の魅力発信を目的に、協力隊員を配置し、地域住民や関係団体と連携した取り組みを進めている。
具体的には、地域資源を「売れる形」に整える実務支援を展開。地域には魅力的な素材やアイデアがある一方で、商品化にあたっては表示ルールや法令対応などの課題が存在する。川野氏は、商品ラベルの整備や栄養成分表示の助言、パッケージ設計、保健所申請などの支援を通じて、商品化プロセスを後押ししている。
成果として、地元産の大豆や米を活用した「宮地岳みそ」や、竹林資源を活かした「天草メンマ」などの開発が進展。地域運営組織と連携した同商品の取り組みは、新たな特産品として注目されており、現在は道の駅限定商品として販売されている。
天草市は販路拡大の一環としてECサイトの整備にも着手。来訪者による購入に加え、オンラインでの販売を可能にすることで、地域商品を継続的に購入できる仕組みづくりを進めている。今後は販売実績を踏まえ、商品構成やサイトの改善を図る方針だ。商品販売だけでなく、竹林でのたけのこ掘り体験など、地域資源を活用した体験型コンテンツの企画・実施にも取り組む。観光客のみならず地域住民にも利用される拠点づくりを目指し、「過ごす体験」を通じた地域の魅力発信を強化している。
このような取り組みと並行し、天草市は地域おこし協力隊員およびインターン参加者の募集を実施している。イルカ調査員や地域体験プログラムなど多様な分野での募集を行っており、市公式サイトのほか、ラジオやふるさと住民向け配信などを通じて情報発信を行っている。
天草市は、道の駅を核に商品・体験・情報発信を組み合わせた地域づくりを推進し、関係人口の創出や地域経済の活性化につなげる考えだ。宮地岳での取り組みは、地方における持続可能な地域づくりの一例として注目される。