韓国釜山の金海国際空港に到着し、入国ゲートを出たところで目にしたのは、日本の旅行会社の「歓迎 咸安(ハマン)落火ノリ ジャパンデー=以下、咸安落火ノリ」のプレートを持った多数のガイドたちだった。その2時間程前、釜山便が成田空港を出発する時から、旅行会社のツアーバッジをつけた人たちの高揚感が伝わってきた。
咸安落火ノリは、韓国南部の釜山からクルマで2時間ほどの咸安郡に300年以上伝わる伝統的な火祭り。炭の粉を紙で包んで筒状にした落下棒、約3000本を池の上につるし、点火によって火の粉が水面に降り注ぎ幻想的な光景が広がる。日が暮れた午後7時過ぎ、火の粉が舞うと共に、池の水面に写ったオレンジ色の細い火柱が神秘さを醸し出した。地域の安寧を祈る伝統行事として300年以上も受け継がれ、慶尚南道の無形文化財に指定されている。

韓国ならではの地方の魅力を伝え、大都市集中から地方周遊へ
今回の企画は、韓国観光公社と日本旅行業協会(JATA)が連携し、10月15日の1日限定で日本人観光客のため特別にジャパンデーを設けた。地元自治体の慶尚南道、咸安郡、慶南観光財団も参画した。今年で3回目で、初年度500人、次年度1000人、そして今回は約1500人と堅調な送客となった。ツアーはJATA会員旅行会社20数社、計36事業所が募集をかけた。
その背景には、各国共通の課題である観光客が大都市集中する傾向がある。韓国もソウルや釜山は日本人観光客で賑わっている。このため、韓国観光公社とJATAでは、自然や文化、グルメといった韓国の地方ならではの魅力を味わってもらいたい狙いで、ジャパンデーを開催した。
会場を訪れたJATAの蝦名邦晴理事長は、今回の成果と今後の展望について次のように語った。「ジャパンデーへの誘客は毎年増えていて、3年目にして1500人というのは成功だと思う。ソウルなどに留まらず韓国の地方の魅力を体験してもらえる良い先例だと受け止めており、今後の取り組みとして活かしてもらいたい」とした。そのうえで、「韓国には個人旅行者が多いが、旅行会社ならではの切り口でお客様を吸い上げるとともに、長く続いている伝統行事を提供してくれる側の思いを結びつける旅行商品としたい。ある程度定着したら、旅行会社が自走できるようになってほしい」と話した。