東京生まれ東京育ちの私が、縁もゆかりもない佐賀県で、「地域活性」や「地方創生」と言われるような事業をお手伝いして8年。その間に、私が関わってきた事業のなかで最も深く関わり、かつ、最も注目していただきたいプロジェクトの一つ「グリーンレタープロジェクト」についてご紹介させていただきます。
「グリーンレタープロジェクト」は、2019年に20歳代~40歳までの「うれしの茶」農家16名で起ち上げたプロジェクトなのです!
プロジェクトなのですが、そもそも、皆さん、「うれしの茶」ってご存知ですか?
プロジェクトのご紹介の前に、今日は「うれしの茶」について少しお話しさせてください。
うれしの茶の魅力、ご存知ですか?
私がいる佐賀県の中でも有名な観光地の一つ「嬉野」は【日本三大美肌の湯】とも言われます。それ故、美人になる(?)温泉地として有名です。しかし、実はもう一つ、全国茶品評会で常に上位入賞をとっている、知る人ぞ知るお茶「うれしの茶」の産地でもあります。
「うれしの茶」は通称「ぐり茶」とも言われます。日本茶の中では珍しい、勾玉状にまがった玉緑茶と言われるものが主流です。その製法から、まるまった茶葉がゆっくりと開いていくことで旨味を抽出します。
そして、注ぐたびに漂うお茶の香りに「あー、日本人で良かった」と思わされます。
およそ580年前に茶の栽培が始まったと言われる嬉野。山間部の段々畑で平地の隙間を縫うように茶畑があります。そのため、下から見上げると、空に向かってこんもりとした茶畑が段々に見える景色は何とも言えない美しさです。
土地に合わせて丁寧に
ただ、見るものにとっては美しい茶畑ですが、その形状から、たとえば平地であれば、一度に100収穫できるものが、嬉野では10×10ヶ所というように複数の場所で栽培することになります。そして、一ヶ所ごとの畑の面積も小さいため、大型の機械を使うことができません。
そのため、嬉野の茶農家たちは、小規模な家族経営にも関わらず、人によっては30ヶ所以上に点在する複数の畑(時には隣の市や隣の県まで広がっている)を持っています。この点在する複数の畑一つひとつの環境や土の特徴に合わせ、品種や栽培方法を変えています。
毎日、あっちの畑、こっちの畑と移動しながら、家族で力を合わせお茶づくりをしています。
貴重なシングルオリジンができる嬉野
そして、手間をかけ、目をかけ、時間をかけて丁寧に栽培したお茶は、各農家が持つ自社工場で自分好みのお茶に加工・製品化していきます。それは、コーヒーでいうところのシングルオリジンのお茶を楽しむことができるのです。
これは、農家は栽培のみで、加工は外部に委託することが当たり前と言われる多くの茶産地からすると、とても珍しいことです。
ほとんどの茶農家が加工施設を持つという嬉野ならではの大きな特徴の一つであるとも言えます。
このように、嬉野は国内生産量のわずか1.5%程度の小さい産地ながら、景観としての茶畑を楽しみながら、温泉に浸かることができます。さらに、肥前吉田焼という焼物の産地でもありますので、目の前の茶畑で栽培されたお茶を肥前吉田焼の湯呑で飲み、嬉野で栽培加工されたお茶を購入できるのです。
まさに、文字通りの栽培から加工まで一貫したお茶どころです。
この素晴らしい環境の中でお茶づくりをしている若手茶農家たちが、どのような想いを抱えて、どんなプロジェクトを起ち上げたのでしょうか。
それは次回以降、ゆっくりとお話しさせていただきたいと思います。
(これまでの寄稿は、こちらから) https://tms-media.jp/contributor/detail/?id=29
寄稿者 高尾道子(たかお・みちこ) トラの巻 / 代表