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クルーズ商品のオンライン販売 ~ジール社との協業、KKdayの活用事例~

1コメント

 みなさんこんにちは。

 今回は、KKdayの活用事例についてお話をさせていただくべく、実際にKKdayを導入していただいている、㈱ジールの平野拓身社長にインタビューを実施いたしました。

 ジールは、東京・湾岸エリアを中心に観光・飲食・撮影・宴会・婚礼・葬祭・散骨・運行管理・海洋教育など「船舶」を活用した事業を行っている企業です。

 KKdayでは、ジールさんと協業し、国内外の旅行者に向けて、目黒川のお花見クルーズや隅田川花火大会の観覧クルーズなど、クルーズ商品のオンライン販売をお手伝いさせていただいております。

 今回はそれらの事例を踏まえて、コロナ前〜コロナ後にかけてのお話や、インバウンド再開に向けた準備を機に、KKdayと協業をした経緯や活用事例などについてなど、さまざまな方向からお話をいただきましたので、ぜひご一読ください。

■窮地を乗り越えられた要因は?

ジール平野 

 コロナ禍は、当初の売上が95%減となり、ほとんど売り上げがなくなってしまいました。多くの社員を抱えているので、休業補償を出して社員を休ませるという選択肢もありましたが、それはやりませんでした。 再開できるのは半年後なのか、1年後なのか、わからない状態でもスタンバイはかけれるような状態にしておこうということで、苦しくても休業はせず、新しい事業を何本か立ち上げたりなどしながら休ませずに営業してきました。 その結果、コロナが明けて仕事が戻ってきたときには、多くのスタッフが残ってくれていたので、今は売り上げも順調に上げることができています。

 基本的に私どもはサービス業ですので、お客様に対してのサービスのクオリティをいかに上げるかというのは常々考えています。 しかし窮地に立ったときは既存の考え方では対応しきれなくなるので、これは社員にも必ず話をするのですが、そういう時こそやはり新しい考え方で柔軟な発想を持って、とにかくいろんな形を変えながらやり続けるという体制が必要です。

KKday王 

 弊社も実は同じような状況でした。コロナ禍の苦しい状況の中でしたが、人材の採用をかけていました。結果として、コロナが明けた今、国内外から多くご予約いただくようになり、売り上げを順調に伸ばすことができているような状況です。

ジール平野 

 窮地のときにも会社に残ってくれた人や続けてくれた人って、やはり会社に対してすごく思いのある人たちなので、今、ものすごく社内が良い状態になって、本当に毎日楽しく仕事させてもらってます。意図したわけではないですけど、結果としてそういう形になったので、逆にプラスの効果が出てきたなと感じてますね。

KKday王

 私自身も貴社の人気商品である目黒川の花見クルーズに参加させていただきましたが、とても陽気で元気な御社のスタッフの皆さんがとても印象的でした。

 その時はあいにくの雨だったのですが、外国人のお客様(KKdayからのお客様)が10人ぐらい参加していました。私は中国語がわかるので、スタッフの方々のご案内を聞いた後に、外国人のお客様の会話を聞いていると、楽しめたっていう話はかなり耳に入ってきました。

ジール平野 

それはうれしいですね。

ジール平野拓海社長
ジール平野社長

◼️コロナ前とコロナ後でクルーズ観光での違いはどんなところにあると思いますか?

ジール平野 

 コロナ前後でやはり大きく変わったのは団体ですね。実はコロナ前から「傾向」としては出ていましたが、日本企業では、会社イベントの予算がどんどん減ってしまい、以前はよく会社単位で貸切パーティーや納涼会などのイベントがあったのですが、そういった予算が取れなくなりました。逆に、個人集まり、各々でお金を出しあってパーティーを開催するというのは増えてきています。そしてコロナ禍になり、その傾向がものすごくはっきりとしてきました。

 今戻ってきているお客様は、どちらかというと個人の集まりでのご利用がかなり増えてきてますね。このようにニーズのあり方っていうのは間違いなく変わってきたと思います。

◼️DX(デジタル・トランスフォーメーション)を通じて今後何を実現したいですか?

ジール平野 

 稼働率に偏りみたいなものがすごくあって、例えば週末は、ものすごく船が稼働するのですが、平日の午前中や昼間は、船が比較的動きにくいんですよね。繁忙期と、6月・9月・1月・2月などの閑散期で差が激しいと感じています。今後、そういった弱いところを埋めていけるような仕組みを作りたいですね。

KKday王 

 それでいうと、閑散期の6月・9月・1月・2月というのは、台湾・韓国・香港では、大型連休があるので、是非、その時期に向けた集客の仕組みづくりを一緒に行っていけたらいいですね。

 DXというのはちょっと難しく感じてしまうかもしれないですが、KKdayでお手伝いできることがあります。例えば1〜2月には「今年の春節はここで楽しみませんか」、6〜5月の大型連休には「この時期はこういう見どころがあるので、ここで船上パーティーをしませんか」というように、時期やインバウンドの趣向に合わせたデジタルプロモーションの展開や、今までKKdayからの予約で蓄積された顧客データから、平日のこの時間帯はこの値段、この時間はお客さんを集めたいからこのオプションを付けるというようなレベニューマネジメントもできるはずです。

ジール平野 

 データを使って時間帯や曜日などに合わせた商品が作れると、私どもとしても本当にありがたいですし、効率性を高めることによって少しゆとりができれば、新しいコンテンツ作りなどに投資していくことができますので、その辺りは期待したいところです。

 空き時間をどうやって埋めていくかっていうところについては弊社の課題でもありますので、そこはぜひ一緒に考えていきましょう。

■商品作りに対してどのような思いがありますか?

ジール平野

 やはりなかなか普通では体験できないようなものを組み立てて、ご案内していきたいなと思っています。自分たちがやりたいとか乗りたいとか思わないものは、基本的には商品化しません。また、プライベートでお客様だけのために花火を打ち上げたり、花火を見ながら実際の忍者の末裔の方たちによるパフォーマンスを楽しめるクルーズのように、日本の伝統の価値みたいなものをどうやって商品化していったらいいのかというのも追い続けていきたいです。考えるというよりかは、「感じて」これ絶対商品化できるよね、お客様も喜んでもらえるよねというようなものを商品化しています。

KKday王 

 忍者はインバウンドにも売れる体験です。この日本文化をどうやって、いかなる形で世界に展開していくか。これは弊社が考えるクールジャパン戦略の一つでもあります。そういったところでも弊社が力を入れていきたいとは思っています。  

 御社は旅行業の免許も取得されたと思いますが、そこにはどんな狙いがありますか? 

ジール平野 

 私どもは不定期旅客船航路事業の資格を持っているのですが、これは、お客様がチャーターしてやっていただく分にはどこで下船しても自由なのですが、乗合船の場合は出航した場所に戻ってこなければいけないというルールがあるんです。この縛りは、商品を幅広く展開する上では足かせになっている現状があります。

 そこで旅行業(2種)の免許を取得することで、国内で主催旅行を販売することができるので、クルーズと街歩きやグルメ巡りなどをセットにしたプランなど、より自由度の高い商品造成ができると思っています。

■平野さんから見て、日本の観光業界やクルーズ業界は、今後どのようなものになると思いますか?

ジール平野 

 日本という国の観光コンテンツの良さというのは、だいぶ前から私も気付いてはいましたが、今ようやく注目を集めてきたと認識しています。

 日本は景観の美しさとか、食事もとにかく美味しいじゃないですか。今後の日本の観光業は、確実にもっと伸びるはずです。とはいえ、一部ではすでにオーバーツーリズムが発生しているので、バランスの取り方はかなり重要になってくるのではないでしょうか。先ほどお話したような、時期や時間などそういったところで分散させ、一極集中させないことが大事です。

 ただ、日本人は本当にプロモーションが苦手で、いいネタがあってもプロモーションできないから埋もれてしまうということは、過去にもたくさんあったはずです。だからこそ今一度、日本全国を見渡して、情報の発信の仕方について真剣に考えていくべきです。

 売りたいものがあっても、売り方がわからない、その価値に気付かないことが多々あります。特に地元の魅力にはみんな気付かない。都会も同じことです。この都会の魅力に気付いていない。そういうことが山ほどあると思うので、そういったものを1つ1つ形にしていくことで、日本はこの10年、20年かけて観光立国となっていけるのではないでしょうか。

KKday王

 それを伝えるのが弊社のようなプラットフォームなので、世界に日本の魅力を惜しみなく届けられるように頑張ります。 

◼️最後に

ジール平野 

 貴社との協業ができるということは、われわれにとっても本当に勇気を得られて、可能性がすごく広がってくるっていう風に本当に勝手ながら思っておりますので、本当に良い機会を頂戴して、大変ありがたいです。

 これまでなかなかそれは難しいなっていうので諦めてしまうところも正直ありましたが、これから御社の力をお借りして今までチャレンジできなかったようなことにもどんどんチャレンジしていきます。今、期待で胸がわくわくしております。

KKday王 

一緒に協力体制を組ませていただいた部分はまさしくそこであって、実現したいことがあればKKdayというプラットフォームで実験をしていただいて、トライアンドエラーして一緒に観光業界を盛り上げていきましょう。

観光業界を盛り上げることを誓うジール平野社長(左)とKKday
観光業界を盛り上げることを誓うジール平野社長(左)とKKday

寄稿者 王 子軒(おう・じけん)㈱KKDAY JAPAN国内営業部シニアマネージャー

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  1. キャプテン
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    対談ありがとうございました♪とても良い記事になってますね。流石です。これからもよろしくお願いします。

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